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パッセンジャー(Passengers) [DVDやら映画やら]

入植地ホームステッド2 に向かう宇宙船アバロン。詳しい説明はなくとも、開始早々何かトラブルが発生したらしいことが分かる。到着するまで眠っているはずが、あまりにも早く目覚めてしまった。偶然二人が同時起きてしまったのかと思ったらそうではなかった。バレた時が怖い。「秘密は無い?」と訊き返すバーテンの表情に不安になる。ジムはひどいやつだと思うが、バーテンから「最高の選択です」と言われた時の表情が微妙なところが見事。しかし「あなたなしでは生きられない」と言われたときはちょっとドヤ顔? 色々あってエッチに至るが、もしできてしまったらどうなるんだろうか。モニターを見ながら船内放送による謝罪アナウンスがほとんどストーカーくさい。仲たがいした結果、「今日はオレの日だ」とか言って、バーを曜日替わりで使うようになるのが面白い。おそらく誰が起きようが起こされようが、船は異常な状態。登場するのがガスでラッキー。彼はエンジニア長なのか船のことをよく知っている。落ち着きっぷりもすばらしい。物語にはガスの登場が絶対必要だった。なぜならオーロラはジャーナリストだし、職業がよく分からない一般人のジムには、アバロンのシステムにアクセスできるはずもない。何もできなければアバロンもただの溺れるドロ船。ラスト近くのバーテンアンドロイドがちょっとバツが悪そうな雰囲気なのに笑う。このバーテンは限りない数の客の嗜好、酒の種類とかカクテルとかをメモリー出来るのだろう。ハイバネーションポッドに医療用ポッドと未来は楽しく便利そうだが、ハイバネーションポッドの機能全滅とかは恐ろしすぎる。「エイリアン」みたいにアンドロイドによる航行管理はしないのかと考えたが、それは宇宙船のシステムに組み込まれた AI が行っているという設定のようで、そっちの方が現実的。しかし手動で操作とかになると物理的な腕が必要になるだろう。コアの部分についてはアクセスコードを持たない一般人の命令を受け付けないだろうし、数十、数百年にわたる航行には電源切れのない何十年も一人で平気な自爆テロを起こさない航行管理アンドロイドが必要かも。クリス・プラットさんがほとんど出ずっぱりで大変。アンディ・ガルシアさんがいつ登場するかと思ったら、あれだけだった。異常な状態でなければハッピーエンドにならなかった、壮大なストックホルムだかなんだかというシンドロームの物語。未来に求められることは孤独にしない技術なんだろう。それは独居老人に限ったことではない。なかなかタメになる話しだった。面白かった。


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吸盤男オクトマン(OCTAMAN/OKTAMAN DIE BESTIE AUS DER TIEFE) [DVDやら映画やら]

ノンフィクションとかドキュメンタリーっぽい出だし。生態学調査団は南米の漁村で環境汚染について調査し、海が放射能に汚染されていることが分かる。汚染された魚を食べた人々の血液を調べるリック博士。その血液は放射能で汚染されていた。そしてもったいぶらせることなく登場するオクトマンらしい人というか生物。タイトルロールでは役者名ではなく、"OKTAMAN" と記されている。タコらしく二本腕、背中からも腕二本、そして二本足にひざ裏あたりからスネくらいの足が二本飛び出していて、全部で八本。たしかにタコだ。物語によると人間がタコ化したのではなく、タコが人間型になってしまった様子。汚染された水の中で育った変なタコ。博士たちはそのタコがどこから来たのか確かめるのだが、その方法が面白い。ただ放つだけ。おそらく帰巣本能を試したのだろう。そしてその様子を見ている者がいた・・・それがオクトマン。これがせい惨な戦いの始まりだった。さっそくそのタコを助けにきたオクトマンが人間を血しぶきにあげてくれる。小さいタコはリック博士が都会の学者仲間のところに連れて行ったはずでは?と思ったがもう一匹使捕まえていたのだった。スポンサーからちゃんと汚染の研究をしろとたしなめられるリック博士。研究の補助金の使い道や成すべき研究など、リック博士の苦労がうかがえる。しかしオクトマンをあきらめきれない。彼はサーカス興業主やインディアンたちを集めてオクトマン探しを始めるのだが、探しているはずがオクトマンに追いかけられるはめになる。危険を察知してインディアンは「探すのはやめよう」と言うがリック博士は「探すんだ」と言い、リック博士が「もう止めよう」と言えば、他の誰か「探すぞ」と言う。何度もやめようか話しが出るが、誰かがあきらめきれない。リーダー不在の探検隊はこれだから困る。そのせいか何度も同じシーンを観ているような気になる。結局オクトマンがリック博士たちを追いかけてきたのは唯一の女性であるスーザン目当てだったのだろうか。小さいタコは連れて行ったはずだし。どうもスーザンの言うことは聞いたみたいだし、時々挿入される意味深な表情をするスーザンのカットも気になる。もしかしてテレパシーっぽいのでオクトマンとスーザンはつながっているのか。どうなのだかよく分からないが「大アマゾンの半魚人」のタコ版ともいえそう。半魚人の造形と同様、オクトマンの造形は悪くない。顔もけっこう怖いし眼も美しい。人間をやっつける様もけっこうグロい。タイトルが "OKTAMAN DIE BESTIE AUS DER TIEFE" でドイツ語みたい。ドイツで封切られたものを DVD にしたんだろうか。この映画の良いところはオクトマンを出し惜しみしないところ。昼でも夜でもいつでも登場してクリーチャー好きにはサービス満点。昼のシーンは八本足の様子がよく分かる。面白かった。晴れ。


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シムソンズ [DVDやら映画やら]

常呂町カーリングチームの映画で日本唯一のカーリング映画かもしれない。オリンピックがあったのでまた見た。ホタテと玉ねぎが有名で特にホタテはたくさん登場する。今なら赤いチーズケーキも出てくるだろう。もう10年以上前。実在のチームの物語なのだが、色々と盛られているところもあるんだろう。映画なんだし。授業中の玉投げスタイルとかはほんとにやってたら笑う。トイレのドアを使ったポーズ練習、玉ねぎとかぼちゃのスウィーピング、四人五脚は実際にやっていそう。久しぶりに見ておどろいたのはラストの試合でのシムソンズのエンド。逆転にトライするところは、オリンピックでのイギリス女子チームそっくり。12年後を予測していたようなもの。加藤ローサさんの「おりゃ!」がかわいい。加藤さんや藤井美菜さんの横顔や鼻の高さが素晴らしい。ラインを出る出ないの反則が取り上げられているが、今でははちゃんと判定されるんだろう。藤井美菜さんは経験者という設定だけあって、最初から投げる姿が決まっている。他の三人も話しが進むにつれて上手くなっていくところがすばらしい。観衆が見守る中のラストショットのシーンは転んだらまずいしけっこう緊張したんではなかろうか。「目を閉じろ・開けろ」のシーンは、「目を開けたら誰もいなかった」というのが定番だと思うが、そうでないところが面白い。ラストの試合前の目をつぶって輪になるシーンは思わせぶりが上手い。テレビと聞いたあとの「ニューハーフみたい」な化粧がおかしい。演説が空振りのコーチを前にして気まずそうに横を向いたり、仲直りした後でコーチの家にいったときの藤井さんの表情がかわいい。田中圭さんや山本浩司さんが少年に見える。北海道ならではの長い一本道がすばらしい。自転車に乗りながら「鼻が凍りそう」というセリフは本心からだろう。常呂町の寒い中でのロケだろうし、カーリングをすることも初めてだったろうし、色々苦労されたのではなかろうか。カーリングを知らない人のためにも、劇中で登場する解説者やビデオ映像が、自然な流れで説明してくれるところが上手い。加藤ローサさんが真人にあこがれるのに対して、畜産農家の女の子が夏八木勲さん演じる伝説のカーラー好きなのは、海月姫のジジ様好きみたいで面白い。真人と藤井美菜さんはほんとは兄妹だったとかいうオチかと思ったら名字がちがってたんだな。コーチ役は天パ全開の大泉さん。スリラー全盛時のアル・ヤンコビックさん風。コーチの背景設定が物語に深みを与えている。軽トラの荷台送迎は見つかったら怒られそう。ラストの観客の喝さいは、勝ったチームにはちょっとかわいそすぎる。星井七瀬さんを見つめる父親役、芦川誠さんの表情がけっこうホラーだった。さすが呪怨の不動産屋さん。それにくらべて農家の女の子の家庭はほのぼの。藤井さんの家族については語られていないが、彼女のセリフから厳しそうな親に思える。屋外のシーンが清々しいのは、カット面積の半分以上が空や海、サロマ湖だからかもなあ。トレーニングを重ねていくシーンにお母さんが SIMSONS のワッペンを縫い付けていくカットが挿入されるところに意外と感動。この映画がカーリングチーム誕生からオリンピック出場までの記録としたら、今度は銅メダルへの道という映画か。タイトルをチーム名にしなければ「なんたらパート2」とかにできたのでは。加藤ローサさんを始め、配役が良い。これだけかわいいチームがあれば応援したくなるのは当たり前だが、これでいいのだろうかと思ったりする。カフェ「しゃべりたい」のマスターが会計しているシーンが無いことが気になる。高田延彦さん相手に無銭飲食とは恐ろしい。もぐもぐタイムは無かったが流氷ソーダがおいしそう。面白かった。


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彼岸島 デラックス [DVDやら映画やら]

テレビドラマの続きらしい。ドラマを見ていなくても、これまでのことをオープニングで大急ぎで説明してくれるので助かる。そのうえ、アキラたちを追いかけてきた彼岸島に初めて上陸する男のおかげで、仲間が色々説明してくれる。観ながらドラマのことを思い出す。配役はテレビの役者さんとほぼ同じようで、違うのはユキさんくらい? しかし紫の着物の「師匠」と呼ばれる人は初めて見る気がする。それにアキラたちは最後に島を出たはずだし・・・調べてみると「彼岸島 Love is over」という、この映画に続くドラマがあったらしい。もしかして師匠はそれに登場していたのか。鈴木亮平さんの退場が残念。そしているだけでオーラのある佐藤めぐみさんも・・・と思ったら、これからどうなる。敵の大ボス、ミヤビの風貌が日野日出志さんとかムロタニツネ象さんとか怪奇人間時計とか、ホラーマンガみたいで強烈。斬っても死なないんじゃどうすりゃいいのか?と思っていたら、何やら薬品があるらしい。そういえばテレビでも登場したような。彼岸島に吸血鬼が誕生したのは、軍による実験の結果で、その実験のときに吸血鬼に対抗するための薬品を作っていたのだった。さすがのミヤビもそれには弱いらしい。古い軍服姿の吸血鬼たちは軍の名残だろう。最初の戦いのシーンで、吸血鬼の弓矢軍団が登場してからがかっこいい。吸血鬼を弓矢の盾にするところや空中で斬ったり、地上で滑るように斬りまくる殺陣のスピード感がすばらしい。そのカッコよさの裏で初上陸の男、カトーがかなりイラっとさせてくれるところが面白い。アニキのアツシは人間のままではミヤビと戦えないと考え、自ら吸血鬼になった。映画「30デイズ・ナイト」でヴァンパイアたちと戦う保安官と同じ。責任感の強さが美しい。しかしミヤビやアニキに噛まれたユキやアキラはなんで吸血鬼にならないのだろうか? 坑道シーンはほとんどレイダース。いちばん怖かったのは冒頭の桶に男が入っているところで西太后を連想させる。師匠と呼ばれる人が遠近法ででかいのか、ほんとうは小さいのか、それともでかいのかどうなんだかちょっとよく分からない。おそらく巨大な人という設定らしいが、今なら CG で作るだろう。冒頭から登場するでっかいバイオハザードみたいな吸血鬼とか CG っぽいのはたくさん出てくるので、予算の問題だろうか。師匠役が石橋蓮司さんでおどろくが、声だけだったので納得する。もし続編があるとするなら、佐藤めぐみさん演じるレイがどうなるのかというところ。しかし、それよりも叫んでばかりの加藤の扱いがどうなるのかが怖い。「~にも守るものがある!」とか「他に道はないのかよ!」などとアキラたちに疑問や熱弁をふるうが、おろおろするばかりで肝心なときに何もしない。坑道では「まかせよう」だし。良く考えれば炭鉱のカナリア的役割。しかしやっていることは状況の引き伸ばし。状況を知ったばかりというハンデはあったとしても目的や信念を持つアキラや師匠たちのトゲになってしまう予感がして嫌な感じ。加藤のような人は誰よりも自分が好きなので、吸血鬼になりたくないという心がとても強い。だからどんなことでもしそうで、そこがカオスの元ネタになりそう。仮に吸血鬼側に立てば完全なミヤビのしもべになりそう。他にはユキ~ケンちゃん~吸血鬼少女の三角関係もどうなるのかお楽しみ。面白かった。


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ザ・ベイビー 呪われた密室の恐怖(THE BABY) [DVDやら映画やら]

大人だけどベイビーな男をめぐる話し。ベイビーの誕生日パーティでのジャメインの髪形、雰囲気が80年代っぽい。当時としては目立ったかも。反面、母親はベティ・デイビスっぽい。下の娘アルバはブロンドで三者三様の母娘。タイトルロール。アン・ジェントリーがベイビーが成長していく写真を深刻な様子で眺めている。彼女は福祉関係の人らしく、ベイビーとその家族の元を訪ねてベイビーの力になりたいと言う。ベイビーは身体は大人だが行動は赤ん坊のまま。自分の足で歩くことはできず、移動はハイハイ。オムツも必要。母親と娘二人に世話されているがせっかんされたりもする。特にアルバは電気でビリビリとかけっこうきびしい。出生届も出されておらず、名前も無い。だから「ベイビー」と呼ばれている。健康診断を受けたこともない。母子たちのセリフもあやしくて親子関係そのものがあるんだかどうなんだか。ジャメインの行動や表情もあやしすぎる。母親は高圧的。そして不遇なベイビーを救い出そうとするアン対母子三人の物語が展開される。圧倒的にベイビー側の母子一同が悪者そう。しかし大人ベイビーの保護をめぐる単純な争いかと思いきや・・・。アンや彼女の義理の母たちのセリフから、アンの夫に何かがあったのだろうが、細かいことは語られない。その辺は悟ってちょうだいということか。なぜアンが福祉事務所の上司や関係者の指示に従わず、熱心にベイビーを救おうとするのか。それは最後にならないと分からない。観ている人は目をそらされる。重要なのはなぜベイビーは大人なのに赤ちゃんなのかということではない。面白いところは、大人が赤ちゃんになったらしてみたいことをベイビーがやってくれること。それに応えてしまうベビーシッターさんの末路がかなり悲しい。いちばんの見どころはゴッド・ファーザーにも出ていたマリアンナ・ヒルさん。ちょっとキの字っぽいようなジャメイン役がはまっている。夜中にベイビーの元にせまる意味深な場面があったが、アレはやっぱりアレしていたのか・・・。家に侵入しているときの表情も秀逸。アンがベイビーのために手を尽くそうとする中で映し出される、当時の特殊児童学校の様子が興味深い。面白かった。


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スイッチを押すとき [DVDやら映画やら]

配給会社の FACE TO FACE のロゴが映画のタイトルみたい。15年前から行われている自殺抑制のための国家プロジェクトの話し。そして西暦2026年の現在。大勢いた被験者も今では6名。なぜ6名になったかというと、他の被験者は自ら死を選んだため。被験者=子供たちに施した手術とボタンで自殺の心理を研究するらしい。いくら「苦痛を与えない死」と言われてもこんな実験を国民了解の元で行われるはずがない。それでもプロジェクトが開始されたのは、「ボタンを押すはずはない」という逃避的な考えのおかげかもしれない。しかしそう思いながらもボタンを押してもらわなければ実験は始まらない。所長役の西村雅彦の口紅が色っぽい。ちょっとキの字?と思わせる見た目。「外に出たけりゃスイッチ押せや」というセリフが非道。しかし別なシーンでは情けない顔を見せる。愛ちゃんの手紙はまずいよなあと素人目でも分かる。この一件で一気にあの人があやしい人に思える。上っ面は親しみやすそうでも、あやしい雰囲気満々。もしかすると映し出される親指に関係あるのだろうか。被験者たちは学校に行ったことはないようだし、所内で教育もなかった様子。「身体は大きくても頭の中は小学生だ」なんていうセリフもある。勉強されてよけい知恵をつけてもらっては困るということだろうか。人間であることだけを求めらるというのは、映画「私を離さないで」とも通じるデストピア的な状況。どちらも被験者や研究に未来はない。着任した看守ヨウヘイは食事を作ったりして被験者たちに取り入ろうとするが、何か目的があるのではないか? 彼の行動もそうだが、最初に持っていたボストンバッグがヨレヨレなのもなんだかあやしく思える。それ以上にボスの室長がナゾ。ヨウヘイの心配をしたり、冷酷かと思えば警察には事件ではないと熱心に説明したりして、どこか精神が破綻しているようにも見える。ラスト近くでマサミが近くにいるのにヨウヘイに色々と話すシーンでは、ヨウヘイが口に出せないことを代わりに話してやっているような優しさも感じてしまう。ヨウヘイが主役っぽいが、全編を通してマサミさんがよかった。特に表情がすばらしい。最初にグランドでヨウヘイとあったときの表情がホの字を予感させる。「また明日」というのがポイント。絶望の中にも希望を見出すべきという話しかもしれない。エンディングの歌が明るすぎ。日本語字幕があるとうれしい。冷える。


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ジャニス リトル・ガール・ブルー(JANIS:LITTLE GIRL BLUE) [DVDやら映画やら]

JANIS:LITTLE GIRL BLUE のタイトルロゴのデザインがかっこいい。オープニングからジャニスさんが歌う姿を堪能できる。妹のローラ・ジョップリンさんや幼なじみが家族や学生時代のことを話してくれる。公民権運動の時代、差別は間違いという彼女の主張は南部には合わなかった。高校三年間はいじめにあう。町には KKK。ひどいことに学生時代、ブサメンに選ばれてしまう。どの時代にはバカな学生はいるもんだ。他にもピーターとかゲスな人もいる。そしてスタイルはビートニクっぽくなる。フィルモアで彼女が見たのはオーティス・レディングのショー。彼の身振りやシャウト、ガッタガッタに影響を受けただろうというのは関係者談。ジャニス自身オーティスが好きだと話している。もちろんアレサ・フランクリンも。ギャラがいくらかなんて関係なしに出演したモンタレー・ポップフェスティバル。ボール・アンド・チェインを歌い終わったあとの歓声に照れるような表情がかわいい。ずっとワンピースかと思ってたら、フレアのパンツをはいていた。1968年 コロムビア・レコードスタジオのシーンが面白い。サマータイムを録音しているところで、Gibson SG で印象的なメロディを弾いている手元も映っている。別テイクをやる、他の曲をやる、やらない等々、メンバーでもめている様子。しかし「どっちでもいいじゃない、もう10時を回ったわ」とか「みんながそれでいいならね。わたしは賛成できない」とか、ジャニス対他メンバーの様相。録音の確認、そしてモノクロのライブ映像と、サマータイムが録音~観客の前で演奏されるまでがまとめられているのがすばらしい。シーンの最期はジャニスのドヤ顔で終わる。ジャニス人気の高まりとともに、バンドメンバーたちは険悪になっていく。リーダーのピーターに代わってルックスの良いジェームズがバンドの顔になり、そこにジャニスが加わり、二人をさしおいてバンドの顔になってしまった。マネージャーの売り出し方もジャニスが中心だった。マスコミもジャニスはバンドを「離れるのでは?」とか「離れるべき」と騒ぎ立てる。彼女はバンドを脱退する。最期は彼女が決めたのだろうけど、マスコミや業界の声に自分を見失っていたのかもしれない。今度は新しいバンドがコケにされる。それは彼女の能力だけが理由ではないだろう。ウッドストックの映像では途中から音が消えてしまうが録音状態が悪かったのだろうか。1970年のフェスティバル・エクスプレス。ムーブ・オーバーのライブ映像。グレートフル・デッドたちとのツアーで、ジュリー・ガルシアさんやボブ・ウェアーさんの姿を見ることができる。ガルシアさんは黒い Stratcaster を手にしてる。彼はジャニスを理解していた一人だったという。移動中のセッションでジャニスはギルドを手にして歌う。この歌がすばらしい。よく音楽の記録映画に登場するテレビ番組の司会者ディック・キャベットさんと、モンタレーのベネベイガー映画監督の話しが面白い。二人ともバンドメンバーやマネージャーのような関係がないせいか実に客観的。ディックさんは彼女とどこまでいっていたのか。ベネベイガー監督は「彼女は、声が出ない音域はたいがいシャウトか絶叫、それだけでは音楽はなりたたない」とも話す。そしてプロデューサーだろうか、ポール・ロスチャイルドという人はジャニスに「声を使い分けろ」とアドバイスしている。彼はジャニスに多大な影響を与えたとされている。彼女の周りには良い人も多かった。ときどき挿入されるセミヌードのショットにおどろく。オーティスさんのライブ映像では、Fender Telecaster を弾くスティーブ・クロッパーさんと ローズウッド指板の Precision Bass を弾くドナルド・ダッグ・ダンさんの姿が見れてうれしい。ジョン・レノン&オノ・ヨーコさんを見るには、ずいぶん後まで待たなければいけない。ジャニスの素は声がでかい陽気なテキサス娘だという。しかしこれも虚構なのかも。ロック・アイコンの王道的ストーリー。ドキュメンタリーな感じがしない、すばらしいドキュメンタリー。


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東京喰種 トーキョーグール [DVDやら映画やら]

字幕付きなのがうれしい。人間が動物を食べるなら、何かが人間を食べる世界があってもおかしくはないという世界。トーカがかっこいい。人間だったころの食事を受け付けないのは、身体の中の酵素に関係がある等と説明される。「なぜかグールはコーヒーを飲むことができる」という設定が面白い。そうでなければ喫茶店が秘密の場所にならない。オープニングのあんていく店内のシーンでは、コーヒーしかテーブルにない客はグール率が高いということになる。人間たちはグールがコーヒーを飲めることを知らないのだろう。そうでなければわざわざあんていくには入らないだろう、と思ったがそんなこともないか。トーカに肉じゃがを持ってきた依子はトーカを疑っているのか、試しているのか、それともただの親切か。色々考えられる世界が怖い。人間にくらべて圧倒的にグールの方が強いし、人間界などすぐに征服できると思うが、素性を隠し、誘われれば人間の食事を食べるのは、CCG による駆逐があったせいだろう。それにグールたち自身がどれだけのグールがいるのか分かっていないと思ったがどんなものか。勝手に腎移植をして責められる医者の岩松さんがお茶目。果たしてそれは医者の使命だったのか功名心なのか、それともグールと知ってのことだったのか、何かマッドな背景があるのかナゾ。面白いところはマド捜査官と戦うのがカネキではないところ。トーカが復讐を誓った相手だからだろうが、グールになり切れないカネキが純粋に使命を果たそうとする捜査官アモンと戦うことに意味があるんだろう。二人の対比という意味では、カネキとアモンのトレーニングシーンも暗と明。そして CCG たちの衣装は白っぽく、グールたちは黒。二つの世界を印象付けている。普段通り車の走る高架の下でを走る下で行われるファイトも別世界のよう。クインケというのが良く分からなかったが、おそらくグールの武器であるエボシという触手などの武器を単体で使えるようにしたものなのだろう。医学生グールがやられるシーンは、さんざんテリトリーとか色々と威張っていたやつだけにスカッとする。医学生もあれだけやられればもうダメだろうと思ったら、トーカやヨモのセリフではまだ生きている様子。戦いにおけるグールたちの苦悶する表情がすばらしい。トーカが「通れ、通れ」とトイレでもどすシーンはちょっとかわいそうになってくる。清水富美加さんや窪田正孝さんを始め、みなさん配役が良いのでは。マド捜査官を見て「なんでこの人?」と思ったが、気にならなくなってくる。アモン捜査官は激しい戦いの末、自分が殺されなかったことをどうとらえるのか。エンディングの歌が印象的。ほんとうならグール誕生とか、母子と父親の話しやマドやアモンの過去、喫茶あんていくの結集や、カネキとトーカ他のグールたちの戦いなど、色々と描きたいところがあるのだろうが、それでは前後編とかになりそう。カネキの葛藤とトーカの関係、その周囲の出来事だけで一本にまとめたところがすばらしい。カネキの幼少時と思われる短いシーンも、彼がヒナミを気にする理由を現わしている。しかし喫茶あんていくのマスター村井國夫さんがエボシを出して戦うところも見たかったかも。他にもヨモさんや店員の佐々木希さんも。アモン捜査官とカネキの関係など、続編があるとして、トーカがいないのは非情に残念。面白かった。雨。


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ウィッカーマン(1973)(The Wicker Man 1973) [DVDやら映画やら]

何もしてくれないキリスト教を捨てて太陽神を信仰してきた人々。そして端から見れば理不尽ないけにえも、神に何かを与えれば何かを返してくれると信じているからこそ。そんなことが行われている島を誘拐捜査のために訪れた警察巡査。選ばれしは「王」で「童貞」で「愚か者」で「法を司る者」。「童貞」ということはあの夜に理性を超えてやってしまえば問題無かったりして。逆に宿屋では金髪女性が執拗に巡査を誘っていたようだったが、考えてみれば彼の実直さ・信仰心の高さを試していたのかもしれない。素っ裸で腰を振ってハアハアする女性と、その向こう側で煩悩に負けまいと苦悶する巡査の対称さが面白い。探していた女性が喜んで逃げたときにだいたい結末は分かってくる。後味悪いし歌は陽気だし、探偵物語だし、ミュージカルだし、わけが分からないうちにはまってしまう。「カルト映画」と呼ばれるのも納得。結末はどうあれ、ラストのハウイー巡査が素晴らしい。先行きがなかろうとも、実直な信者であることは揺るがなかった。彼の叫びはありがたいお話のようでもある。のどかなフォーキーな歌がだんだんと怖くなってくる。だいたい歌ってる内容が変。太陽神をあがめる異教なだけに昼のシーンが多いのも特徴的。明るい中でなんてひどいことを・・・カエルを使った伝承医療も怖いし閉鎖的な世界を象徴している。しかしいちばん素晴らしいのは燃やされるウィッカーマンの造形。木を組んだり編んだりして出来上がった素朴な姿は、どんな凝ったデザインより秀逸。劇中で歌われる歌に字幕をつけてほしいと思ったが、要と思われる歌にはちゃんと字幕がついていた。特典映像も面白い。撮影時は寒くて息が白くなるので、口に氷を含んでいたらしい。ロジャー・コーマンさんも関わっていたのは面白い。映画「赤い影」と二本立て公開だったのはすばらしい。クリストファー・リーさん他、関係者の口からカットしたシーンについて言及されている。それがそれがどんなシーンかは分からない。一部警察署での巡査のシーンがあったが、カットされたシーンがなくても十分面白いと思う。フィルムは捨てられてしまったらしいが、捨てた場所がすごい。特典映像の CRITIC CHOICE ではこの映画を「風変り」と称しながら、これでもかというくらいにホメまくっている。教室のシーンでの先生の発音によれば、男性のあれは「ピーニス」と発音するのが正しそう。教室のシーンだけあって勉強になる映画。面白かった。冷える。


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気狂いピエロの決闘(Balada Triste de Trompeta) [DVDやら映画やら]

1937年 マドリード。スペイン内戦の時代。サーカス。二人のピエロが立つ舞台。一人はハビエルの父親。子供たちが笑っているが爆音とともに軍隊がやってくる。悲惨な内戦の末にフランコ政権が始まり、時は 1973年 マドリード。ブランコ首相の時代。ハビエルは父親や祖父のようにピエロになった。ただし父親が言っていたように笑わない「泣き虫ピエロ」。そのサーカスにはサディストだけど子供好きの「怒れるピエロ」セルヒオがいたからまあ大変。セルヒオの女、ナタリアに好意を持ってしまったハビエル。セルヒオのあまりに勝手な暴力には見ている方が引いてしまう。食堂での当たり散らし方や、特に遊園地でのハンマーはひどい。しかしピエロという仕事とその意義や、お客である子供たちには真摯であり続ける態度が困ったもの。タイトルロールがかっこいい。見終わってから再見すると意味深。なんだか映画の背景や主題が分かった気になる。狼男やフランケンシュタインとともに登場するのは映画「恐竜100万年」に出ていた毛皮ビキニ美女。どれもホラーのハマー・フィルムの映画。セルヒオの所業やハビエルの覚醒、彼らの戦いはまさしくハマーのホラー。ビキニ美女をめぐる狼男とフランケンの戦いと言えるかもしれない。このビキニ美女に相当するのがナタリア。片目の大佐との再会は最悪だったが、ハビエルのターンで残酷ながらけっこう爽快。結局ハビエルは、父親から言われていた「悲しみを知った者は人を笑わせることはできない」とか「復讐しかない」という言葉に影響され続け、何もしないためにピエロになったのだろう。しかしナタリアに会ってしまったことで心の中の父親が目覚めてしまった。前半でナタを持って戦う父親の様子をみるとハビエルにもブチ切れてしまう素養はあったのかも。そして決着の舞台はスペイン内戦の名残の場所に戻る。あの内戦がなければ怒らない出来事だった。最期の塔でのクライマックスは夜ということもあるが、ほとんどモノクロっぽくてかっこいい。サーカスがつぶれた後で団員達が開く店が「コジャック」という名だが、これがまさしくテレビドラマ「刑事コジャック」のことで、70年代のスペインでは人気があったのだろうか。1973年に行きつくまでに白黒の記録映像が流れるが、その中にはビートルズがスペインでライブをしている様子もちょっとだけ映っている。その他にもフランコ政権が確立したころの映像や、ブランコ首相暗殺時の映像も挿入されている。暗殺については劇中でも再現されているがこれが派手。そのシーンに続く記録映像を見ると、車が宙に飛ばされたり、でかい穴が道路に開いたりと、ほぼ事実の再現。ハビエル他、みなさん色々あるのだろうが、いちばん悲惨だったのは板挟みにあったナタリア。あんな最期はない・・・・。救いはサーカス団員たちが割と良い人たちだったこと。邦題「気狂いピエロの決闘」は映画の内容的にまあまあと言えるが、原題は「悲しきトランペットのバラード」。これは劇中の映画でピエロが歌っている歌。エンドクレジットでは「トランペットのバラード」。元曲はイタリアのニニ・ロッソさんだろう。YouTube を見たらザ・ピーナッツさんも歌っていた。セルヒオを殴りつけるときに使ったのもトランペット。ナタリア役のカロリーナ・バングさんの高身長な立ち姿がかっこいい。特にマシンガンを持ったハビエルとセルヒオに挟まれてたとき。面白かった。晴れ。


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人狼ゲーム マッドランド [DVDやら映画やら]

人狼シリーズ第6作。会社のロゴ無しで突然始まる。ゲームの場所へ連れていかれるような描写から始まる。今回はみなさん初めてっぽい。ルールの模索から始まる。今回のルールには村人ではなく「狂人」という、サブタイトルにある「マッド」を連想させる役職がある。ほとんどが狂人で、村人優位の通常体制とは逆。狂人は人狼を守る。いつもは二人の人狼が一人というのがミソ。だから人狼同士が話し合うシーンもなく、観る人にも誰が人狼か分からない。「人狼なら殺されない」と分かれば、さっそく「オレが人狼!」「わたしが人狼!」と宣言して我がもの顔。そしてタイトル通りのマッドランド状態。しかしウソがバレた場合の反動が超怖い。小池萌と佐藤彩乃の関係が重要になってくるが、ただの友だちなのかけっこうホの字なのか、深いところはよく分からない。学ランがえらそう。興味深いのはオープニングのシーン。もしかしてまだ生きてたか? とよろこんだが、おそらく落ちた直後だったのだろう。がんばったのに残念。最期、生き残ったと思われた二人が何で? と思ったが、狂人は人狼が勝ったときに勝利するのが今回のルールだったのだ。毎回あからさまにキ〇ガイな人が登場するが、今回も強烈。中川未来さんは高校二年生の設定だが、おかしなおばさんにも見えてしまう。できれば根岸すずさんには生き残ってほしいがどうなることか。エンディングの歌が「人狼ファイアー! マッドランド~♪」に聴こえる。オープニングの車で連れていかれるようなシーンは今までなかったと思う。「ラヴァーズ」では運営側の言及があったし、これからはゲームの運営とか元締めまで話しが進むのだろうか。いつも一人か二人は知っている役者が登場するが、今回はとうとう出てこなかった。相変わらず絶叫や怒鳴り声がリアルだが、これがみなさんの地なのだろう。ああ怖い。エンドクレジットの衣装協力が「アイラブ制服」というのが面白い。もしかしてマニア向けの会社か? 人狼ゲームの面白いところは、携帯電話やスマホや SNS とか Web にメールとかが登場しないところだろう。人狼シリーズに外れなし。面白かった。風強い。


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人狼ゲーム インフェルノ
人狼ゲーム ロストエデン 後編
人狼ゲーム ロストエデン 前編
人狼ゲーム ラヴァーズ
人狼ゲーム プリズン・ブレイク
人狼ゲーム クレイジーフォックス
人狼ゲーム ビーストサイド
人狼ゲーム


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