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ココニイルコト [DVDやら映画やら]

最後の「ええんとちゃいますか」とその表情がちょっとホラー。晴れ晴れした顔をされるよりは現実的かもしれない。野外撮影の場所に電話がかかってくるのは超自然なのかと思ったが、バス内での上司の電話を考えるとそうとも言えない。前野は別なラストでも良いような。相葉志乃が難しそうな性格になったのは、元々信じることの虚しさを叩き込まれるトラウマ的な出来事が原因のようで、不倫だけが原因ではない。逆に一時でも自分のために存在する不倫相手や彼が言っていただろう甘言が、志乃に「イルコト」を分からせていたんだろうなあ。志乃は人を信じられないがために人間関係を楽しめなかったんでしょう。前野との関係が縮まり、同じ職場のあつことも共通点から親しくなり、その結果同僚との関係もトゲが取れてくる。どれもが相手側からの動きがきっかけで救われる。つまり大阪の方たちに救われた、「大阪良いとこやで」という映画。東京シーンは冒頭の会議と街並みの風景だけでとても短いが、東京が不毛なことが十分伝わってきます。東京が旧保守なら大阪は新保守。上司役の中村育二さんとクリエイター役の小市慢太郎さん、その他、大阪の会社の人たちの演技がすばらしい。実際の同僚としても魅力的。会社の中の派閥争いとかいやーな部分が描かれてないところが良い。志乃が泊まるホテルが豪勢。毎日18000円って、手切れ金が尽きるまで泊まるつもりだったのね。景気が悪いと言いながら広告代理店も活気があるようだし、時代的にはいわゆるバブルという頃かと思いましたが、ミレニアム頃の出来事だった。そういえば手切れ金の件でも「景気がよかったら高かった」みたいなことを言っていた。笑顔の色男、前野役の堺さんの顔が小さい、というか細い。この十数年後に大河の主役になろうとは。「~の買ってきたパンツはいてくるな」とか、橋の上から大阪中に届くだろう声量で叫ぶシーンは名演で圧巻。堺さん渾身の叫び。不倫相手からもらった物でも「物に罪は無い」とは正論。物に当たってはいけない。表情満点の前野に対し、志乃役の真中瞳さんのぎこちなさが逆にけっこうリアルだったりする。PC のキーボードを叩いたりスキャナを使ったり、当たり券を持ったりするときにクローズアップされる指がとてもきれい。横顔の鼻やまつ毛の長さもすばらしい。妹の「死んだ振りにはダマされへん」の件は、妹が無邪気なだけに後を考えるとけっこう悲しい。妹もショックを受けたはずだろうがそのシーンが無いところが良かった。雪の中を風船で遊ぶ志乃と子供。そこから子供がリタイアするところがなんだか意味深でホラーな感じ。志乃が競艇でお金を作る件は普通は断るよなあと思う。良い方向に行きながらも上司の言うとおり「壊れた」という感じ。最後の「ええんとちゃいますか」で見せる笑顔といい、この女優さんはサイコ系のホラー映画がぴたりとはまりそう。小物で気になったのは、電話が J-Phone。東京の PC のモニターが液晶。大阪のフロアにあるモニターのほとんどが CRT。Fujitsu のハンドスキャナーに取り込んだ写真の加工が Adobe Photoshop。Windows は Window のタイトルバーが単色なので 95 でしょうか。面白いところは恋仲ではなかったところ。それだけに前野の結末は大げさかもなあ。一般の方が日常を映画風に過ごしている感じがする。主役の浮いている感じがジワジワくる。それがスリルでもある映画。面白かった。

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