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空人 [DVDやら映画やら]

空人と書いて「くうじん」と読む。あって良いはずが無い戦争、特攻から 60年を経てようやく動き始めた二つの家の物語。現代。後から分かったが場所は山形 天堂。老人が息づかいも荒く、けもの道ような山中の坂を歩いていく。手には新聞紙でくるんだ供え花。途中で倒れたり、栄養ドリンクを飲んたりして、本当にきつそう。そして目の前に開ける風景にはゼロ戦たちが飛んでいく。時代変わって 1945年。北関東の海軍航空隊。清水は特攻隊に志願する。特攻兵たちは九州南部の特攻基地に移る。清水は尻を叩かれ立つこともできないところを先輩の阿部先輩に助けられる。阿部が問いただすと、清水は軍隊長に特攻は愚劣な作戦だと話したという。それは彼らが乗る戦闘機が、整備兵たちが試乗するのも嫌がるほど、飛べば空中分解するだろう代物だから。それではなぜ農村出の清水が志願したのか? それは地元に戻ってもすることがないから。隊員たちは阿部の妹、静子の写真を見て「べっぴんだ」とよろこぶ。阿部と妹は両親を早くに亡くしていた。阿部は静子の写真を清水に託す。この清水が冒頭の老人。現代、清水は阿部の墓参りに来たのでした。その頃、東京の橋本商会に息子夫婦の元に父親が病院を脱走したと連絡が入る。清水は今、橋本姓となっていた。面倒くさがる息子。親子関係もギクシャクしている様子。清水は墓参りのあと、偶然にも阿部静子の娘、キワと出合う。彼女が高橋かおりさん。母親の静子はすでに亡くなっていた。清水はキワに阿部醸造に案内される。キワの仕事を待っている間、キワの姿に何かを見ているような清水の表情が秀逸。彼ははキワの大叔父に先輩の最期を報告し、託されていた静子の写真を渡す。そして大叔父から先輩が妹宛てに出した「清水がお前に会いに来る」と書かれた手紙を見せられる。大叔父は生死の分からない清水を待たずに静子を結婚させたが、それは幸せな結婚ではなかった。キワは子供のころ、母親はいつも清水のことを話していたと言う。家に泊まった清水は阿部が幼いころに作ったと飛行機の模型を見て、特攻の日の事実を話す決心をする。それは静子に会いに来れなくなった理由でもあった。その事実に大叔父はショックを受け、清水を突き放すように席を外す。大叔父やキワに謝り家を出る清水。帰りの道中、キワと話していた清水あることを決心する・・・という話し。映画の中で登場するムカサリ。天童、若松寺に伝えられる"あの世での結婚式"。映画の中の住職のセリフでもあるとおり、死者の霊を招いて行うムカサリは実際には行われていないと思われる。ただ劇中では特例として「死者に連れ帰られぬようとりおこなう」とされていました。細かいことをいえば戸籍や相続権とか、前の家族はどうなるのかとか色々あるでしょうし、妻の介護をいっしょにしてくれた東京の義理の娘も色々複雑でしょうし。ムサカリの「婚礼」ではなく「絵馬」の奉納くらいにした方が良かったのではと思ったりするが、親族や近親者が集まる風景やその中で執り行われる式も映画のだいご味。きれいな高橋さんも見れるし。ムカサリを終えて、大叔父やキワともいい関係となり、東京に帰るまでなごやかな時を過ごす清水だが、夢見が悪いとか変なものが見えてしまうとか、罪悪感が残っている様子がリアル。キワも清水に親切すぎるように思えるが、母から聞かされていたことによる親近感や、悪かった父親にはできなかった孝行をしたかったり、やさしい父親へのあこがれがあったということだろう。年の差恋愛話しにならなくて安心する。阿部醸造の制服に着替えた高橋さんの脚の細さがすばらしい。高橋さんの「もうおばさん」「独り身」のセリフがなんだかジンとする。ボランティアの介護士姿もめずらしい。プラットホームを走る姿も美しい。ラストカットが高橋さんと言うのも印象的。清水の息子がキワを見たときの驚きの意味が知りたい。単に「良い女」とか「惚れた」という感じ? 月山の旅館が素晴らしい。特攻のパートでは隊員たちが尻を叩きまくられる姿が印象的。「脱獄ドクター いのち屋エンマ」の監督さんとは知らんかった。女子高生麻雀の「咲」もこの人だったのか。プロであれば当たり前なんでしょうが、色々な映画を撮る人。面白かった。

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