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黒い画集 あるサラリーマンの証言 [DVDやら映画やら]

黒い画集の第一弾。日本語字幕付きがうれしい。人の名前がよく分かる。タイプライター音がするタイトルロールがかっこいい。劇場で聴いたらゾクゾクしそう。松本清張先生は手書きなんでしょうが、作家本人がタイプを打っているよう。暑い日を十分暑くというか熱く感じさせるふにゃふにゃのアスファルト。車が走るたびにタイヤの跡がつく。主人公石野の様子が自身のモノローグで淡々と簡潔に紹介される。月給が家族手当含めて75000円、税金その他で手取りが57740円。そして月二回のボーナスが400000円。部署はともかく、さすがは課長だけあっていい収入。直属の部長でもある重役の竹田には可愛がられ、最後には部長くらいになれるかもと期待している。へそくりは株式課長による仕手でねん出。帰りには暑さしのぎにビールのジョッキをおかわりし、パチンコで50円を元手に味の素とピース三個。新大久保駅で降りて自分の家に帰るのかと思いきや・・・彼の給料に見合わないアパートへ向かう。待っていたのは愛人・会社の OL 千恵子さん。ぱっとしない風体でよくやるなあと思ったら、人にバレないように離れて歩いたりかなり慎重。そういえば冒頭の石野のモノローグのシーンで彼のデスクに書類を持ってきて頭を下げて戻る OL がいたが、彼女が千恵子さんだったのか。そうだったらあまりに何気ないシーンで上手い。慎重にやっていた石野だが道を歩いていれば誰かに会うもの。そこから石野課長のビビりが始まる。ちゃんとほんとうのことを話せばよかったものを。ビビって愛人に引っ越しさせるがこれがまた逆効果っぽい。最初のアパートの方がよほど安全に思える。事態はどんどん悪化気味。石野の奥さんの様子をみると、ちゃんと話せば一応は分かってくれる気もするが、やっぱり千恵子ラブな石野。面白いのは中盤で警察に白状するところ。石野とその家庭がどんどん崩れ去っていくのだが、まだ映画半分も残っているのにもう破たんして時間は大丈夫?と心配してしまう。警察側が西村晃さんと平田昭彦さんというのがナイス。平田昭彦さんは同じシリーズの「寒流」では色好きの最強上司役だった。平田さんが石野に事件内容を説明するシーンで挿入される現場写真が本物っぽくて怖い。被害者の夫が「電送人間」の中丸忠雄さん。多数の警察官で入り乱れる現場で、死んでいる妻を目の前にしながら話しを聞かれる様子が痛々しい。あとは一平ちゃんこと西条康彦さんもほんのちょっとだけ出ていた。容疑者の杉山の職業は保険外交員だが、仕事のノルマとか、色々きびしいようで、映画「狼」で登場した新人外交員たちの話しを思い出す。石野、あなたはいったいどうすんの?というサスペンスがメインだが、千恵子が移ったアパートの青年二人、千恵子に言い寄る会社の青年と石野の意識の違い、そして両者の間でうまく動く千恵子たちの関係も印象的。いつの時代も現代っ子は存在するのだった。面白かった。寒い。


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