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ダゲレオタイプの女(Le secret de la chambre noire/La femme de la plaque argentique) [DVDやら映画やら]

普通のカメラなら引き伸ばして等身大なんだろうが、ダゲレオタイプだとただでかい。撮影中はじっとしていなくてはならず、大変だなあと思ったが、動かない死後の撮影とかには良いかもしれない。等身大だからこそ写真と現実、生者と死者の混同が起きてしまうのか。「ホルマリン臭い」と言ったあと、母親のことを話しているときのマリーの目が怖い。どこかを見ているようでそうでないような。マリーが階段から落ちた理由が知りたい。ジャンがときどき使っていたというクスリの影響だろうか。後半、ジャンとマリーがじゃれあうシーンが多々ある。その中で「~が聴こえない」とジャンが言う。このあたりでジャンがおかしくなっちゃったかなと思ってしまう。二人だけで式を挙げた後が決定的。その前に電車の中で突然現れるし。ステファンには青いドレスの女性が現れたようにジャンには・・・これはステファンのダゲレオタイプの全身カメラによるものなのか。ステファンが何度もマリーを写すのは、焼き増しができないこともあるが、彼にとってそれだけではないだろう。写すことでそのときの永遠を保存する。それにダゲレオタイプの露出時間の長いカメラが全盛のころは、写るまで待つ時間を神聖なものと考える人が多かったのかもしれない。ステファンは若いモデルに20分をカメラに捧げろと言うし。ジャンがステファンの家に入ったとき見た青いドレスの女性はマリーだったのかどうなのか。家の評価をしにきた人は若い娘を見たと言う。どういった人に見えるのだろう。もしかしたらマリーが青いドレスの人になりかわったのかもしれにない。植物ハウスでの青いドレスの女性の浮かぶような動きがすばらしい。水銀や何やマスクを着用しなければいけないほど薬品を使う。火も使うしとても危険。写真サイズが大きければ薬品も増えるだろうし、露出時間も長くなる。等身大という大きさであればなおさら。モデルにはポーズを決めるための器具も使う。薬も与える。写される身にとってはとても苦痛な様子。ダゲレオタイプの苦痛。使われる薬品とそれに汚染される母親が好きだった植物、現れる青いドレスの女。どれも結びつきがはっきりしないが、マリーの「漠然とした不安」という言葉。この話しのすべてはそこなのだろうなあ。ジャンが電車に乗っているシーン。電車が動いているように見えないのが面白い。マリーの階段やら廊下を走る姿がかわいい。いちばんの見どころはマリーの表情。特に器具に固定されているときや考え事をしているときの不安定な顔と目がすごい。面白かった。


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