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パラドクス(El Incidente/The Incident) [DVDやら映画やら]

スペイン語の映画だった。自主映画みたいな雰囲気。モノクロっぽいカラー。DVD ジャケットは叫んでいる女性だが、冒頭で登場するのは三人の男たち。階段室から抜け出せない。上に行けば下から登場、下に行けば上から登場というマジックみたいな現象。手摺の隙間から鍵を落とせば上から降ってくる。ループな世界。きっかけは人を死にいたらしめる事故。そして大きな音がするとそこは無限地獄。その場所は階段室、道路、そしてロベルトの話す自然キャンプ。他人を巻き込んで繰り返される。繰り返していることに気が付かないのは名前を忘れてしまうからとか言っていた。人々は別な世界で別な暮らしをしている。それを現わしているのが、DVD だとチャプター9。ただマルコやロベルトにとってどの世界もあまり変わりがなさそう。チャプター9 すら無間地獄に見える。このチャプター9 はセリフが無く映像だけを見せられるが、そのときに流れる音楽が素晴らしい。何度か見て少しずつ納得したが、エスカレーターのおばあさんが分からない。開始早々から登場するので重要そう。もしかしたら最後に出てきた結婚式をしたばかりの女性だろうか。ラストの様子からして彼女も無間地獄にはまってしまったようだし。イヤリングも同じみたいだ。そのおばあさんの手からからハムスター? モルモット?を持ち去る子供。これはたぶんダニエルでおばあさんは写真の人。もしかしてダニエルのおばあちゃんなのか? まずは「ある世界からループする世界へ投げ込まれてしまう」ことが前提でないと付いていけない。理論と結末のある SF を求めてはいけない。登場人物が P.K.ディックさんのペーパーバック、「時は乱れて」を持っていたせいではないが、彼の本を原作にしたどの映画よりもディックさん臭を感じる。パッとしない男たちが登場するところもなんだかディックさんっぽい。"Incident" は重大事件に発展する危険性を持つ事件・事変。映画を見ているとそれはカルロスの足が撃たれたこと、そしてカミーラがジュースを飲んだことでアレルギーになったこと。そしてロベルトの話すサマーキャンプの出来事。それらをきっかけにしてループに入る。年を重ねるのは人間だけ。他のものは消費してもまた現れる。邦題は「パラドクス」になってしまったが、"Incident" に相応しい邦題がなかったのかも。あえてつけるなら「前兆」? DVD ジャケットはちょっとだけずるい。人々はループするが年は取る。そしてちゃんと食料も食べた分は復活している。食事をするからちゃんと出るものが出るので、それを処理しなくちゃならない。服だって同じ服だが替えはたくさんある。考えてみればカゴやケージで飼われているペットみたいなものでもある。ダニエルが飼っていたハムスターはその象徴なのかもしれない。クルクル回転するやつでただ回し続ける毎日。案外ループのアイデアはそこから生まれたものだったりして。「ダークレイン」の監督の映画ということで観たが観て良かった。ホラー映画ではなく SF 映画の棚にあった。最初はなんで?と思ったが見て納得。「クリーチャーズ 異次元からの侵略者」と並ぶディックさん漂う映画。同じループものの「トライアングル」も良かったけどこっちも良い。雪。


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