SSブログ

屋根裏の散歩者(1992)〈完全版〉 [DVDやら映画やら]

実相寺監督版の屋根裏の散歩者。タイトルフォントがレトロ。明智小五郎が嶋田久作さん。郷田役は三上博史さんだが、髪形といいメガネといい、なんだか三上さんに見えない。普通なら嶋田さんが郷田で明智が三上さんとなりそうなところ。新鮮な配役。郷田が振り返ったり、気が付くと姿を消している明智が、郷田の妄想にも見える。色々と論議する人たちがたむろする部屋。歯医者の遠藤がモルヒネを見せる。1920年代半ば、夏、本郷あたりの遊民宿。宮崎萬純さんの登場シーンで、光のかげんか壁に映る虹がすてき。郷田が屋根裏に気が付くきっかけが雨漏り。屋根裏の光景で、上ではなく下の天井から差し込む光がなんだかSFな感じ。郷田は節穴から見るというやさしいのぞきではなく、天井板をずらしてしまうという大胆さ。現実で考えればきしむ音はするだろうし、ほこりは落ちるだろうし、絶対ばれそう。エッチシーンでの激しい腰振りがほとんどポルノ映画。ぼかし付き。日活版に負けていない。女性があそこに手をやってゴソゴソとかいうシーンとか、ゴムとか、一人の女性を共有したり、縄やろうそく好きとか放尿とか女性同士とか色欲だらけのアパート。「これ以上必要?」というくらい営みシーンが続いたりして、わざわざタイトルに「完全版」と添えてある意味が分かったりする。遠藤役の六平さんの絶命シーンが怖い。屋根裏の柱をつたうガイシ引きの電線がなんだかリアル。この映画での明智はまだ探偵事務所を開いていない。推理や謎解きは趣味の様子。特定の住民からは嫌われてもいる。ラスト近くで登場する堀内正美さんが色男。宮崎さんはこの後の「奇妙なサーカス」を連想させるような姿を見せる。この人のちょっと外れた演技はなんだか地のようで怖い。弦楽器のみによる音楽が耽美で映像にぴたりとはまる。カッコ悪いのはエンドロールで表示される TBS のロゴマークだけ。音声トラックで監督とプロデューサーのコメンタリーがあるのがうれしい。映倫でカットされたとか、ボカシは失礼だとか、胸の大きさとか、どこがRなんだとか、色々なコメントが聞けて面白い。岸田森さんを始め、好きな俳優がみんな亡くなると話しているのが切ない。加賀恵子さんは脚本家役なのだろうか。透けた原紙の上を鉄筆でガリガリ忙しい。エッチの後で本のインスピレーションが産まれるのか、エッチの最中でも裸のままガリガリとガリ版原稿を書いている。裸でそんなことしてるのもおかしなシーンだが、ガリ版を使っているシーンなんて、最近の映画じゃなかなか観られないのでは? 記憶遺産になりそう。1976年の「江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者」に負けないエッチ。面白かった。曇り・雨とか。


GEOの紹介ページ
https://rental.geo-online.co.jp/detail-25643.html

D坂の殺人事件 (2015)
屋根裏の散歩者 (2016)
江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者
失恋殺人


共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。