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嗤う分身(The Double) [DVDやら映画やら]

不条理物だろうか。ドストエフスキーの小説が原作らしいが、読んだことがない。通勤中に変な目に会う主人公サイモン・ジェームズ。通勤だが昼ではなさそう。そもそもが昼のシーンが無かったような。会社の中でも電車っぽい音がする。おそらく電車を降りたらすぐ会社。ハナが残したリクエストしたのがスキヤキソング。この他にもブルー・コメッツの曲もかかる。「大佐の会」でバンドが演奏する曲が英語ですけど日本のムード歌謡風味、というか日本が真似したのか。バンドのギターがGretsch、Burns、ベースは Framus っぽい。サイモンの会社に配属された新人はサイモンそっくりの男。でも性格はかなりちがう。分身というとたいがい本人のアレなんだろうなあと思う。その証拠を探すように注意深く見るが、バンソウコウを貼っていたくらい。シーンにいちいち意味があって、後に関係するのかなあと勘ぐったりする。気になったのはコピー。ダイヤルでコピー部数を選んで、ハナのコピーセンターで注文する。ハナの女上司は「一部コピーは受け付けない」と言う。普通は自分のデスクのプリンターで出力するらしい。新人が登場するのはこれが関係しているのか。この会社を経営する大佐は「仕事は人、人は仕事、働くのはただの人」と言う。もしかして会社の人々は大佐によってコピーされた者たちだったりして。受付にでサイモンに入館カードを持たせる黒人の受付も不思議。受付であり彼を追い出す警備員であり、病院では医者になっている。そこから考えると、もしかしてみんな分身を持っているのかもしれない。ハナにしても急にしゃべりだしたり、静かになったり。それは付き合っている人のせいに見えるが、本当は二人以上いる。メラニーもそう。ただお互いが顔を合わせるか否か。妄想というよりドッペルゲンガーが普通の世界。妄想ではつじつまが合わない。つじつまを求めることが意味のないことかもしれないが。それとも「他にもハナを思うがあまりに」とか「会社でのプレッシャーの強さに」現れた分身と考えるのが妥当か。坂本九さんやブルーコメッツの音楽がそのまま使われている。クレジットでは、永六輔さんが ROKOSUKE EI(ロコスケ エイ)になっていた。エンディングは英語でもないし何かなあと思ったら、おそらくコリアの歌。コリア語にもあまり聴こえない。英語曲を使わないのは、無国籍というか映画の舞台を特定させないためなんだろう。クレジットによると、「雨の赤坂」「スキヤキ(上を向いて歩こう)」「草原の輝き」「さよならのあとで」「ブルーシャトー」が使われていた。切羽詰ったサイモンの様子がすばらしかった。大佐が「ただの人」と言えば、サイモンは「特長があるのが良い」とか言う。モヤモヤするがあれこれ考えると楽しい映画。雪・寒い。


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