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ゼウスの法廷 [DVDやら映画やら]

高橋玄監督作品ということで、どうしても「ポチの告白」な感じ。若い判事、加納の上司の飯塚や、弁護士に転身した先輩の野村宏伸さんを見ているとなおさらです。「ポチの告白」では刑事たちの当たり前を淡々と描いてましたが、この映画でも裁判所の判事たちの常識らしいものが描かれています。それを特に象徴しているのが上司の飯塚判事。こんな上司がいたらほんとにやだ。正義の味方のハヤタ隊員もワル側でちょっと悲しい。実際にあった公僕の不祥事や悪事を、面白おかしく、時にはグロく、エンターティメントとして描く映画はたくさんありますが、そういったお天気作品とは一線を画す映画。淡々と進んでいくことに緊張します。登場人物たちもシリアスでハード。ときおり見るファンタジーでシュールなシーンもホラーに見えます。小島聖さんの不幸さに見ていて申し訳なくなってしまう。見た目通りに受け取れば、この映画は、裁判はどれだけ早く判例どおりに結審していくかが重要で、事件が検事に引き渡され、裁判にかけられる時点で既に判決は99.9%決まっていることに対する問題提起なのだと思います。そこに人間味がまったく無いように見える加納がどう関わっていくかという物語。前半は加納が置かれている立場や、彼と恵の関係に費やされますが、それがあっての後半です。そして「衝撃のラスト」とは加納がする決断もありますが、そのあとの加納と恵の関係だろう。言いたいことを言って終わりではなくて、少しばかりホッとするが、いちばん最後のカットのおかげでそれもまたどうなることか。裁判を通してでしか伝えられない、考えてみると変態的な愛のドラマだったりする。ああ面白かった。しかしそれよりももっと衝撃があった。それは塩谷瞬さんと椙本滋さんというダブルキャストの意味です。タイトルクレジットで主役級の塩谷さんがなぜ一人で名前が出ないのかと思ったが、そういう意味だったのか。全然気が付かなかった。特典映像のメイキングで分かりました。舞台あいさつにも出ていない理由はそれもあるんだろうか。最初からの約束なのか最後に気が変わったのか。自分を曲げないという信念を感じつつも監督って怖いと思う映画。返す前にもう一回見とけばよかった。晴れ。


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