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あの頃ペニー・レーンと(Almost Famous) [DVDやら映画やら]

監督自身の実話を基にした映画らしいけれど、別にフィクションと言われてもオッケー。タイトルロールでデビッド・ボウイとかオールマン・ブラザースとかの公演チケットが出てきたりして楽しい。自分が同級生より子供だという弟ウィリアムに、姉アニタが言う「ママ、ほんとうは何歳か話してやって」に笑う。アニタのベッドの下にあった「自由」がロックのレコードとは洒落てます。ストーンズ、ツェッペリンにジミヘンにクリームのレコードのなかからザ・フーの「トミー」に目を付け、それで未来に開眼する姿が素晴らしい。フィリップ・シーモア・ホフマンさん演じるレスター・バングスのギャラをもらえる話しに対して、ウィリアムが「Assignment?」と応えるのがなるほどなあと思った。「ピート・タウンゼント以外はロックが何かなんて説明できない」なんて台詞にも泣ける。ケイト・ハドソンがウィリアムの顔をなおす仕草にドキドキする。スティル・ウォーターのボーカルがローリング・ストーン誌のことを「クリームを解散させ、『いとしのレイラ』にもケチをつけた~」云々と言って警戒するところがおかしい。ギターのラッセルが感電するシーンがあるが、ユーライア・ヒープの人はそれで亡くなったから笑ってはいられない。ウィリアムのママから電話越しで説教をいただくラッセルに笑う。新マネージャーが熱弁する「ミック・ジャガーが50才で歌っていられるか?」は見事に外れたようです。古くから使っていたツアーバスが飛行機になり、ニューヨークではリムジン。バックに流れるのはツェッペリン。実在のバンドのオマージュが多いのもこの映画の魅力です。激しく揺れる飛行機の中で歌うのはメガネをかけたロックン・ローラーの曲。ストーン誌の発行人が「アニー・リボウィッツが写真を撮る」と言う。やっぱり彼女に撮られるのはステータスなんだ。通信機器、おそらくファクシミリのことですが、それを「mojo」と言っていた。たぶん最新機器のことをそんな風に呼んでいたんでしょうか。男たちはだらしなかったり、バンドはエゴや不満だらけと色々うまくいかないわけですが、定番だからこそ、どんなラストになるか楽しみなります。ウィリアムは良い姉さんを持ったもんです。姉さんといっしょに、レスター・バングスの存在も大きい。彼のアドバイスは的確で、彼がいなければすべて投げ出していただろう。とにかく女性、特にケイト・ハドソンが素晴らしい映画。映画「X-MEN」のローグに、姉役は「銀河ヒッチハイクガイド」のトリリアンの人と、SF率も高し。ああ面白かった。DVDかけっぱなしで、音だけ聴いていても良い映画。雨・曇り・晴れ。


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ガス人間第1号(The Human Vapor) [DVDやら映画やら]

愛してます、お金の援助もしてやるよという映画。でもそんな愛し方しかできない男が「ガス人間」ともなると話しの次元が違ってきます。キャシャーンが遺作となった三橋達也さんがガス人間を追う警部。タイトルロールでは三橋さんの名前がいちばん先に出るので、主人公は警部か。でも物語はガス人間の土屋嘉男さんと藤千代役の八千草薫が中心になって進みます。他のみなさんは踊らされているだけにすぎません。八千草さんの他の女性といえば女性記者役の方がいますが、八千草さんと並んで映るのは、今でいう公開何たら刑のようなもので酷というものです。しかし八千草さんをより引き立てるための適切な配役だったとも思えてしまいます。東宝特撮映画なのでガス人間の変身や活躍が見所なのは当たり前ですが、それよりもガス人間が記者たちに自分の成り立ちを淡々と説明するシーンにひきつけられます。抑揚の無い、世の中あきらめた・・・という感じの土屋さんの語りがいいです。特に「二万円~」の件とか。その語りの中で出てくるのが村上冬樹さん演じる博士。その博士なたたずまいがたまりません。博士の研究所にあるマシンには三本のケーブルが碍子で引き込まれてますので100V動作ではなさそうです。藤千代の舞台で日本舞踊「情鬼」を演じきる八千草さんの技量がすばらしい。真剣に舞う藤千代よりもガス人間見たさにやってきたギャングたちの間抜けさに笑う。舞踊が終わった後の左卜全さん演じる爺の表情が泣けます。ガス人間の最期の様子に、クローネンバーグさんの映画「ザ・フライ」のブランドル・フライの最期を思い出してしまった。舞や藤千代の舞台化粧姿は、海外の方も興味をひかれるんではないかなあ。愛してしまった相手が金に困っていなければ、道を踏み外すことはなかったかもしれない。でも彼自身、既に自分は人間ではないので、道など無いと考えていたのかもしれない。ああ、面白かった。東宝特撮といえば浅草東宝を思い出します。NHK の丹波哲郎さんの話しで、久しぶりに土屋嘉男さんの姿を見ました。ダンディでした。曇り・雨。


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不連続殺人事件 [DVDやら映画やら]

初めて見たのは文芸座だったか武蔵野館だかどこだったか。ビスタサイズと思ったら横長だった。どの映画と勘違いしていたんだろう。長い。2時間越え。「耐えがたきを耐え~」と戦後の様子を撮影した白黒フィルムで始まる物語。そして現れるのはシルバー仮面の夏純子お姉さんと、ウルトラマンAの瑳川哲朗隊長に、サスペンダーの内田裕也さん。おまけに桜井浩子さんも出ているので特撮率がちょっと高い。坂口安吾さん原作なので見たのですが、内容はともかく、ちゃんと巨勢博士が出ているのでうれしい。何よりも役者さんたちが楽しい。泉じゅんさんも出てます。前半、歌川邸に集まった人たちが、いかにおかしい人間であるか、舞台のような演技で説明してます。出てくる人たちの役柄が作家、文学者、絵描きに詩人と文化的な人が多いので、喜劇風だったり詩的だったり、大げさな台詞が続きます。原作が有名作家の有名な探偵小説であるし、その犯罪の特徴というのは既に分かっているので、人がいなくなっていくこと自体に驚きはありません。興味は次に誰がいなくなるかということか。もちろん犯人も。原作と違っている場合もあるので。片脚が悪いお医者さんは、言動はおかしいし、変な人を連れてくるし、メスの使い方も間違ってる他、色々とひどいことをしてますが、おそらく頭のネジが外れてしまってると思うのでミス・リード要員か。この人は泉さんにも診察と称してちょっかいを出すので、心底腹が立ちます。加代子さんには亡くなってほしくなかった。歌川家系で唯一汚れを知らない人っぽいので。しかし彼女が亡くなったことで事件がほぼ解決されたもの。その後、客間で内田裕也さん演じる土居光一が話す「動機が~」云々が全てなんでしょうねえ。そして巨勢博士の言う「心理の足跡」、つまり不自然か自然か。考えてみれば勘ともいえる。一見連続性が無い行動が見られる事件。これって、ある爆破事件がよそで起きている銀行強盗を隠すためだったとかいった、事件を隠すために見受けられるプロットにも通じていそう。さすがは安吾先生。ときどき着替えられるのか、邸の夫人役である夏さんのファッションが素敵。女中さんの泉さんがきれい。宮下順子さんが貫禄の演技。配役良し。面白かった。曇り・雨。


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私が、生きる肌(La piel que habito/THE SKIN I LIVE IN) [DVDやら映画やら]

身体中ストッキングだらけの女性が出てきたら、そりゃ興味をひかれます。女性の名前はベラ、そしてインターホン越しで話すのはマリリア。次はアントニオ・バンデラス。学会の発表のようで、なんだか学者か医者みたいです。現在の様子を映し、その後で昔何があったのかというシーンがはさまれる。バンデラスさんはロベルという医者で、ベラは何か特別な患者なのかなあと思ったのですが、実はとんでもないことをしていたんですねえ。彼にとんでもないことをさせるのは、妻のことを思うあまりなんでしょうが、その土台をあの人にさせるというのは、娘の復讐もあるんでしょう。よく「お金はいいからあの人を返してよ」という台詞がありますが、それをそのまま実践する感じ。その他に人口皮膚研究の実験台とも考えられます。賛成されない遺伝子研究に業を煮やしているよう。彼が人口皮膚を研究する理由はとても悲しくて、そりゃこうなってもおかしくないわなあと、少しですけど思います。ロベルは最初から妻として愛するつもりだったのか、後からそうなってしまったのか。彼の口ぶりからすると完成後のことは考えていなかったように思える。もしかすると、自分の娘と同じ目にあわせようと考えていたかもしれない。案外そうかも・・・たぶんそうだ。でもそれだったら妻の顔にしなくてもなあ。やっぱり違うか。結末を見る限り、彼はベラに溺れてしまった。彼の過ち。そうなってはいけないと忠告していたマリリンも、ロベルに負けじと複雑な過去を抱えています。それに比べてベラの過去ときたら・・・もしかして心の関係で医者にかかっていたかもしれないが、少し仕方ないわと思ったりする。ロベルに記憶を消す力があれば計画は完璧だったんですけどねえ。これはホラー映画か医学映画か。考えてみると、動物の血によって完成した最高の耐久性能を持つ皮膚をまとったスーパーウーマンが出来た話し。タイトル「私が生きている肌」の「私」は、ベラが人工の肌の中で生きているということだと思う。彼女と自然の世界は一枚の皮で隔てられていて、もう自分で世界を感じることができない。人を感じることができない。そんな意味でしょうか。たしか実験中は熱さえ感じなかったはず。彼女はずーっと違和感の中で生きることになる。もしかしてそれがロベルの目的でしたか?肌の移植ということで、映画「顔の無い眼」を思い出しました。面白かった。晴れ。

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太陽の墓場 [DVDやら映画やら]

タイトルロールの映像で、何をやっているかが大体わかる。素敵な出だしです。ビン詰めのトマトジュースみたいなのは、もちろん買った血液でしょう。炎加世子さんいわく「血は赤十字に売る時代」。輸血というのは時代遅れらしい。シャツの汚れ、部屋の汚れ、街の汚れから始まって、「放るもん」のホルモンぐちゃぐちゃまで、とにかくカラーで見る汚さがリアル。明らかに皮肉な「補導モデル地区」に「お泊り百五十円」や「質入」看板のカット。この時代に戻りたいかと言われてハイ!という人は、よほど良い思いをしていた方だろう。真鍋理一郎さんの音楽を背景に映される骨だらけの建物が檻のようです。武と辰夫を遠くから撮るシーンでは、シリアスな結果になるのにユーモラスな音楽が流れる。背景音楽の使い方が良いなあと思います。娘にスケベと言われる良い大人の伴淳三郎さん。良い大人でいちばん扱いづらいのは戦争上がりの動乱屋。大日本帝国のプライドばかりで仕事をしない。あきらかに頭がおかしい。他の若者たちはギラギラしてとにかく金。しかしやることは非道。「昼は血で夜は身体で大車輪」はまだ良い方。血液売買の次は、戸籍商売だとかで、亡命してくる第三国人に日本人の戸籍を提供すると言い出す始末。金に困った人から戸籍を安く買い叩き、売った人は名前の無いバタ助になり、売ったことを言えば消されると脅される。女と逃げれば身ぐるみはがされて川の中。この中で唯一疑問を感じるのが佐々木功さん演じる武。花子にもきついことを言う武の存在がこの映画の救い。花子も武には真面目に話している様子。武と辰夫のケンカから始まる後半は、それまで以上の勢いで進んで、衝撃のラストへ。花子が叫ぶように問いかける「世の中変わるのか?!」が全て。世の先が見えなさ過ぎる世界。佐々木功さんはやっぱり歌が上手い。ラストのルンペンたちの顔のカット集はまるでホラー。ああ怖かった。晴れ。


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ダークシティ(Dark City) [DVDやら映画やら]

地下深いところに集まる黒づくめの男たち。女はいなさそう。子供はいる。彼らは不思議な力を持っている。彼らはずーっと夜の街を作っている。そんなダークシティの話し。街の雰囲気はゴシックな感じで、バットマンのゴッサムシティ風で良い感じ。おそらく人々は「刷り込み」という方法で記憶を操作されていて、本当のことを知らない。黒づくめたちが呼ぶ「チューン」という力も無い。ただその中でマードックだけは彼らと同じ力を持っていた! そして彼はどうやって世界の秘密をあばき、取り戻すのか! というかっこいい設定。ワレンスキという警部も何かに気づいて半狂乱。彼とマードックの違いは何かというと、マードックが何も覚えていないのに対して、ワレンスキは自分の記憶のあいまいさに気がついてしまった。記憶していたからこそ半狂乱になってしまったんでしょうねえ。記憶の無いマードックには何に狂乱して良いのかわからない。この辺りが面白い。夜毎に繰り返される記憶の刷り込みを、彼は受け付けなかった。そのために記憶がなかった。そんな彼が真夜中に見てしまう街や建物や部屋の様子が、この映画のハイライトのひとつです。それはむかしウルトラマンやウルトラセブンで見たような光景。AUTOMAT というセルフの食堂が面白い。日本にある調理自動販売機の店版とでもいうか。興味深かったのは、ダークシティの果てがブロック壁で、それを壊した向こう側は宇宙・・・と思ったが、一見すると夜景の明かりにも見えました。シティの周囲も黒づくめによって作られたものだったのか。黒づくめたちが人間を操るために使っているのがシュレーバー博士。後半、彼が色々と話してくれる。この人も苦労人のようです。でも科学者だけあって頭が良かった。彼がしたことのおかげで怒とうのクライマックスに突入します。ああいい奴。黒づくめたちの目的は、色々な個性を試してみるということらしい。そのために人の記憶を入れ替え、混ぜては戻す。その実験は何のためかというと、自分たちには無い「個」を研究するためらしい。ほんとうにそんなものが必要だったのか?といわれたら、要らなかったんじゃないと応えそうですが、見せ掛けだけでも人間らしく生きるために必要と思ったんでしょう。それよりもこの映画は、記憶=力と言いたいんではないか。チューンみたいな能力は別として、勉強したらテストの点数もよくなるし、世界情勢だってわかってくる。マードックの台詞「世界を望むように作る」というのもあながち大ボラとはいえません。あとは脳と心の違い。記憶が消されても感情が何かを保持してくれているかもしれない。うーん深かった。マードックがホテルで目を覚ました後でカバンとかを探る雰囲気が、CD-ROM の「GADGET」な感じだった。黒づくめの一人がどこかで見た人だなあと思ったら、「ショック・トリートメント」や「ロッキー・ホラー・ショー」のリチャード・オブライエンさんだった。晴れ。


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ミンボーの女 [DVDやら映画やら]

プールサイド。98ノートっぽいのを使ってる方がいます。ガッツ石松さんの刺青姿が似合うので困る。鼻の頭が日焼けしないように布をあてる宮本信子さんがかわいい。ホテルがヤクザ撃退のためのヤクザ対策課を作る。さてどうするか?という話し。立ち向かうのが弁護士が弁護士事務所という団体ではなくて、宮本さん演じる弁護士、井上まひる独りなのが良い。西部劇でいう「シェーン」的存在。民事に対するのはあくまで一般の方なんですよという監督の考えでしょうか。物語は見事な起承転結構成。【起】はヤクザがホテルに取り付く様子や、指をつめるとか、彼らのしきたりを説明してます。ロビーで騒ぐ・ヤクザを金で追っ払う・料理に異物混入・ホテルを脅す・ホテルが認める・保健所を脅す・更なる解決を要求・最初のヤクザが仲介してくる・後のヤクザが因縁つけてくる・プレッシャーで血の小便。こっけいな反面、他人ごとではないなあとビクビクしてしまう。【承】で弁護士登場。ヤクザへの対処方を伝授。渡辺哲さんが刑事役というのもナイス配役。【転】では、今ではガチ左になった宝田明さん演じる総支配人問題。ここでの暴力はけっこうえげつない。起承のこっけいさから一転、刃物が出たりけっこうシリアス。銀座のバーでホステスさんの服チョッキンとか、ヤクザさんたちって絶対国がちがうよなあと思ってしまう。伊東四朗さんと宮本さんが話す場面では、照明具合で伊東さんの怖さ倍増。さんざん調子よく、偉そうなことを言っていた総支配人の姿に「言わんこっちゃないよなあ」と思わせたりする。【結】役員を含めホテルが団結。裁判を通しての仮処分とかホテルの反撃。一般人にやられてしまう鉄砲玉がギバちゃん。どうにかこうにかで大団円。弁護士まひるの父親は外科医で、指を詰めたヤクザの面倒を見ていたことがあった。最近だとテレビ「ヤメゴク」で見たような。ヤクザ側の視点ではないドラマの原点。大地康男さんの顔演技が素晴らしい。大地さん演じる鹿児島県人は親に怒鳴られたことは無いというのはホントですか。携帯電話がでかい。組事務所の建物の色が朱色でまさに極悪な感じ。小松方正さんの額のこぶを見て、伊集院光さんを思い出す。ああ面白かった。晴れ。


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CASSHERN(キャシャーン) [DVDやら映画やら]

とにかく長くてトイレに行きたくなったのを思い出す。イメージとその効果音による主張の洪水。台詞も青年の主張的。モノローグによる会話。絵の背景。実写ともアニメともマンガともいえない独特な雰囲気。白黒っぽいシーンは昔のトーキーの雰囲気もあって、三橋達也さんが出ているシーンは、現代の彼が昔の映画に出ているイメージ。戦争のトラウマと母の愛を表現するシーンを短くして100分くらいに収めてくれれば、もう少し集中できたかも。戦争とか母性愛の他に、支配世代の確執に、内藤さんに代表される底辺社会の悲哀や、人間で無いことの悲しみとか、何に生きれば良いとか、悲劇がてんこ盛りで気になるところ満載の140分。どっちかといえば、戦争の悲劇がメインでしょうか。キャシャーンは己よりも、戦争に葛藤するために生き返ってしまったようなものです。ブライキング・ボスたちも生き返ったあげく「皆殺しだ!」の戦争モードですから。生き返ってしまったブライキング・ボスたちは、過去の記憶がほとんど無く、ときおり襲われるフラッシュバックが唯一の手がかり。それにくらべてキャシャーンは記憶をほぼ残しているようです。その辺が彼らの葛藤度の違いであり、物語の柱になっていると思う。ボスたちには迷いが無い。それだから最後にがくぜんとするわけで、覚えていないというのは悲しいのかうれしいことのか。キャシャーン独特のヘルメットは結局被りませんでしたが、サグレーたちに襲われたときに、壊れたヘルメットをわざわざクローズアップした意味はなんでしょうか。普通のキャシャーンじゃないよという意味でしょうか。侍の兜のような形が戦争を表わすせいか。色々考えたが、結局じゃまだったんでしょうねえ。たぶん「ちゃんと忘れてないよ」という意味でわざわざ見せたんだと思います。結局ブライキング・ボスたちをよみがえらせた、あの稲妻のような機械が好き。普通なら「ピカッ!」と閃光を描けば済むところを、わざわざ機械にしたというのは、誰か第三者がいるという期待を持たせます。佐田さん演じるサグレーや要さんのバラシンとのアクションも好きです。かっこいい人は何をやってもかっこいいからしかたがない。ポーズだけでマンガのような処理もありますけどそれはそれで斬新。できればサグレーには出ずっぱりで、ルナと対峙する立場でいてほしかった。女性は重要です。小日向さんは、村上冬樹さんや小泉博さんを始めとする東宝の歴代博士を引き継げる貴重な役者さんだなあ。結局「大事なのは愛だけなのよ」を言いたいがための舞台劇のような映画。そして佐田さんと麻生久美子さんと、キャシャーンが爪ロボットにバラシンと戦うところを見る映画。雨。


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レクイエム・フォー・ドリーム(Requiem for a Dream) [DVDやら映画やら]

うつになる映画ですが、自分はこうなるまいという反面教師的映画でもあるような。冒頭からおかしな息子ハリーです。ハリーは自分が泥棒のようにテレビを持っていったと思いたくない/思わせたくないので、母親サラに立ち会わせようとする。新しそうにはみえないテレビを質に入れて何がほしいのかといえば、もちろんお金ですなわちクスリ。映画全編に通じるクスリ注入場面。短いカットとスカッとするような音で構成されたそれは、いやでも印象に残ります。その場面の後はハイになるのか、映像も早くなったりする。画面が白くにごるファイドアウトは、クスリのために盲目になっていく様子に思えます。ハリーには友人タイロンがいます。そして恋人マリオンも。それだから孤独とか寂しいのとか、そんな感じではない。それだから彼らにとってのクスリは、暇つぶしかテンションを高めるためだけのものだろう。サラにかかってきたテレビ出演の電話はほんとうだったのか。番組出場者を選考する会社からの電話だ。電話がかかってきたのが現実なら、本当にテレビ出演の電話だったのか、それともイタズラか。ダイエットをそそのかす友人。そうじゃなくて服を替えればよかったのにと思うがもう遅い。サラが卵とフルーツによる食事ダイエットに苦労している様子は、まるでクスリの禁断症状のようです。そんなにあせらんくてもいいのに。ダイエットがうまくいかないせいで、サラもクスリにはまる。でも本人はダイエット薬でクスリとは思っていない。そんなクスリを平気で出す医者もおかしい。でも医者としては良い商売でクスリの売人と同じようなもんだ。これで、ハリー、タイロン、マリオンに加え、サラのクスリ漬けの様子が並行して描かれる。クスリが無くなればハリーとマリオンの仲も冷えてくる。そのマリオンの行き先が悲しい。ハリーにとっては、タイロンだけが唯一の救いに見える。どうなっても付き合ってくれるのは彼だけだった。看護婦が言ったとおり、多分タイロンはハリーを見舞いにくると思う。それだけが救いかも。クスリの恐ろしさを教えるには、この映画を見せるのが早い。エッチのところがちょっとまずいか。でも割愛したら悲惨さが失われます。先行き不安にさせる環境音のような音楽が見事。このサントラを聴くと否が応でもうつになるんでは。悲しいかな、カットアップと効果音で構成されたクスリの摂取シーンが癖になる。ああ、いかん。雨・晴れ。


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プラネット・テラー(PLANET TERROR) [DVDやら映画やら]

たしか名画座の再映で「デス・プルーフ」との二本立てで見た。面白かった。「デス・プルーフ」ではバージン・ピニャコラーダがおいしそうだった。フィルムの古っぽさとか傷み具合とかを再現した映像が好きです。これはグラインドハウスを意識したものでしょうけど、そんな効果無しの普通の映像を想像すると興ざめするかも。日本だと、TOHO SCOPE の頃あたりを再現してくれるとうれしい。みなさんカッコつけてくれて爽快。チェリーとエル・ロイを始めとしてキャスティングが素晴らしい。マイケル・ビーンさんの保安官がカッコいい分、副保安官トロの間抜けさが際立ちますが、それに見合った見事な最期を見せてくれます。BBQ店の前で感染者たちを退治するシーンで7人がそろいぶみするところは、「荒野の七人」とか「七人の侍」な雰囲気。注射器のことは「ニードル」と呼ぶんですねえ。確かに針です。ニードル使いのダコタの息子がかわいそう。このダコタがゴールディ・ホーンさんに見えたりします。生科学者のアビーの成り行きによっては、別な結末になったんでしょうねえ。このアビーはKISSの人に見えたりする。いやでも目立つのはチェリーの片脚マシンガンですけど、バーズガ砲とか他にも色々くっつけてほしいです。でも片脚を失くすのは感染者に持ってかれたんだったか。てっきり怪我したところから感染して切断したと覚え違いしてました。エル・ロイはかなり有名な男らしいが、ほんとうは何者なのかというのは結局語られじまい。本人の口から聞くこともできず。この人やアビーといったカギを握る人物をようしゃなく消してしまっても、話しが破綻しないところも好きです。夜のシーンばかりで昼がないぜと思ったんですが、よく考えるとこれはたった一晩の話しなんですねえ。アクションに血に笑いにホラーにSFに、おまけにフィルム焼失のエッチまで、一晩の出来事全部入の濃縮度とスピード感。ラストの明るいシーンがパラダイスに見えます。ムダ台詞にムダカット無し。かっこよかった。冒頭の「マチェーテ」の予告は別に無くても良いかなあと思ったりする。晴れ。


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クロール{裏切りの代償}(Crawl) [DVDやら映画やら]

オーストラリア映画。ジョージナ・ヘイグさん演じるマリリンが暗殺者に襲われるサスペンス・スリラー映画。ジョージナ・ヘイグさんの見た感じが良いです。見たところ、ジョージ・シェブソフさん演じる暗殺者の不気味さを前面に出したホラー映画のようでもあります。冒頭で暗殺者が拳銃を落としたので「あんた何やってんの?」と思ったけれど、何か理由がありそうです。ジョージナさん演じるマリリンが働く店のドアの錠を修理してた人も怪しそうで、暗殺者の侵入に関係がありそうですがはっきりしません。依頼主である店の社長スリムの趣味について、実際にそれをしているところを見せないのにわざわざ女の子と語らせる必要があったんでしょうか。依頼主が頼んだ標的も、そんなに悪い人には見えないし。マリリンの恋人トラビスの車さえ壊れなかったら、マリリンもひどい目に会わんかったんでしょう。もちろん当のトラビスはもっと痛い目にあってますが。車の件については、冒頭の暗殺者と修理工の話しが皮肉になっているような気がします。これは暗殺者に「車はちゃんと直しとかなきゃ~」とか言わせるとよかったんではないかなあ。Crawl だと、泳ぎのクロールの他、「はう」「へつらう」「そろそろ歩く」とか色々な意味があるようですが、この映画の場合だと、暗殺者のゆっくりさを表しているんでしょうか。「裏切りの代償」という副題ですが、どっちかというと暗殺者が依頼主を裏切っているように見えるんですけど、どうでしょう。暗殺者が裏切る理由もはっきりしませんが。依頼主そっちのけの、ただの自己防衛でしょうか。でもジョージナ・ヘイグさんは良い。他の映画も見たくなりました。晴れ。風強い。


ツタヤ ディスカス/TSUTAYA DISCAS の紹介ページ
http://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/goodsDetail.do?titleID=2001880274


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変態村(CALVAIRE) [DVDやら映画やら]

これは確かにホラーです。不気味さと血からホラー映画となるんでしょうが、ひずみまくった愛の映画ともいえそう。人が怖い。おかしな村。冒頭のシーン以外女性が出てきません。こんな村じゃ女性は出ていくでしょう。バルテルの妻が最期の女性だったかも。もしかして女性でなくて男性だったのかも。そうでなければ、村人が考えることなく後ろからやったりしないでしょう。そういえば子供もいなさそう。おかしな男たちしか残らなかった村に迷い込んだのがマークの悲劇。最後近くのマークの食事シーンで回転するカメラは、なんだか「悪魔のいけにえ」のラストのようです。2000年代の映画ながら、70年代の雰囲気のある映画。でも携帯電話は使ってます。舞台となる田舎自体が、時代に取り残された古さを感じさせます。居酒屋のピアノで弾かれるワルツも楽しくなくて緊張感だらけ。弾いている本人も楽しそうではない。バルテルよりも、この村人たちの関係も知りたくなる。バルテルと村人の長っぽいロベルトのしがらみは、いなくなった奥さんに関係していそうだ。冒頭のマークのステージが終わった後、楽屋に現れる、若くはないストーカー気味の女性ファンも何気なく恐ろしい。彼の車の中にあった、ファンと思われる女性のポラロイドとそれに書かれた文もそう。ちょっと変質的。最後、マークはどうなったか分からないところも良い。原題から考えるとダメだったかもしれない。原題には宗教的意味合いもあるので、「変態村」なんていう邦題は合っていなさそうですが、村人たちや、特に性に対する所業を見ると、あながちそうともいえません。だって、村を散策して見かけるのが、人間でないものとのアレですから。上手いところは、ホラーでありそうで、ぶった切って切り株ドーンとか、血がドバーとか、ホラーっぽくやられるシーンがないところ。それに、食事のシーンがよく出てくるので、「もしかしてその食材の出所は・・・」と勘ぐらせてしまうところも上手い。案外普通の食事で、料理上手だけなのかもしれない。そういえばホラー映画って、車がエンストしたりして怖いところに入ってしまうパターンが多そうですが、車の故障自体、車検の無い海外ではよくあることかも。遠出するときは車をちゃんと整備しようという気にさせて、日本には車検があって良かったなあと思わせる映画。村って怖い。晴れ。


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