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図書館戦争 LIBRARY WARS [DVDやら映画やら]

開始早々、フランソワ・トリュフォーさんの映画「華氏451」のように本が派手に燃やされます。これはおそらく後で図書隊の教官が説明する「~の悪夢」というテロのことでしょう。一般的に良書ではないとされている本を取り締まる側と、図書館の宣言を盾にして、それを読む自由を守る側の戦いを描いた映画。こうなってしまったのは、そういう法律が制定されたためですが、その架空の法律を含め、条例とか組織とか色々と架空の設定がなされています。こういうのを考えるのは楽しいだろうなあと思います。この世界では映画はどうなっているのか。こうした法律ができれば、元犯罪者が仮名で出した本などは真っ先に焚書されるでしょうから、それなりに良いことかと思ってしまう。もっとも、この法律下では、出版の段階で却下されそう。それだから主に狙われる対象が古い本もある図書館になっちゃうんでしょうね。取締り対象の本は、殺人とか人権とかエロに関するものらしい。でも、冒頭の書店シーンで大きな榮倉奈々さんが取られる本は、なんだかファンタジーみたいだし、何で?と思いましたが、ちょっとした残酷描写や登場人物の個性が引っかかったようです。小さな子供から奪われる本もそんな感じでしょうか。どうせならサラリーマンが立ち読みしている「週間○○」とか「○○実話」とかを暴力的に押収した方がリアリティがあったりして。「華氏451」だと、とにかく活字がダメなんだったかなあ。配役が良かったです。でかい女性にも負けない岡田准一さんがえらい。後半の素手の格闘シーンが圧巻。教官にけんかを売るでかい榮倉さんの役柄は、マンガみたいで行き過ぎかも。鈍感なドジっ子を通り越して、いてはいけない人になってます。栗山千明さんのすっぴんぽい顔が見れるのは良いです。悪者は見事に悪者でした。この時代の岡田さんと田中圭さんは仲が良かった。ポイントは西田尚美さんの記者。法律が「出版」に限るのであれば、報道はまだ自由のはずで、それだから戦争記者みたいなことができる。言ってみればこの映画の中でいちばん自由な存在です。狂言回し的存在になりえる役。ここで彼女たちが「不都合なことは報道しない自由」を発動さえしなければ、案外良い世界かもしれない。さすがは西田さん。良い役を取りました。出だしで登場人物についてあらかた説明されるので「この人誰?」ってことにならないのでよかった。説明的な台詞が多いが、会話になんとか溶け込ませようとしているほうかも。映画の世界は現実に置き換えると、ヘイトスピーチ法案が近そう。これでヘイト本が出ないようになると、図書館にある既発のヘイト本はどうなるんだろう。ヘイト云々といわず、「捏造」に対する条例を作るほうが必要かも。正論を指摘して排除されることの方が良くない世界だと思うので。そしたらSFは存在しなくなるか。この映画を見ると、善の所在というより、悪の所在がわからなくなります。そりゃそうです。戦争だから。どっちかといえば図書隊がハンデいっぱい。仁科指令が若者にあやまるとか、TBSらしい映画でした。面白かった。


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