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僕は天使ぢゃないよ [DVDやら映画やら]

冒頭で、あがた森魚さん、横尾忠則さん、大瀧詠一さんが、緑魔子さん、桃井かおりさんが卓を囲む。山本コウタロー氏はピエロ。その他にも泉谷しげるさんや、なんといっても友部正人さんを観れるのがうれしい。話しの筋は、林静一さんの「赤色エレジー」が基のようだ。暗がり、電車が通る脇に建っているアパートとその窓のショットが、影絵のようで美しい。部屋にはプロコル・ハルムのポスター。長い髪のあがた森魚さんは、前歯がチャームポイントの良い男である。彼が演じる一郎はマンガを生業にしたいが、なかなか売れないのでヒモみたい。アニメーターの内職をはじめたりする。本棚にはガロ。一緒に住んでいる幸子(さっちゃん)役の斉藤沙稚子さんも歯が可愛い。彼女の会社では希望退職者を募っている。今でも変わらない光景か。会社の廊下を「ボクは貧乏~」の歌に合わせて、女子社員たちが練り歩き、仕事する。刷っているのは組合のビラ。ミュージカルのようである。テレビ画面に文明堂のCMが流れ、続けてその画面に二人の様子が、笑い声付きの喜劇のように映る。目をあわさずに縁談の話しをする幸子さんと姉さんの様子がシュール。それ以外にも、全体を通して、現実な話しのようで現実にありそうにない感じで満たされている。二人にとっての現実はアパートの部屋だけかもしれない。一郎さんは悩むが、同棲する彼女や会社、自分の未来のことより、実家とのしがらみ、特に母親に対するトラウマに似た想いが、彼を不安にさせるようだ。ということは、彼の悩みは母親がいなくなるまで解決することはない。絶望的でもある。台詞や歌が多いので、聴いているだけでも楽しい。現実・虚構・心象を視覚化するために、色々な表現方法を考えたんだろうなあ。最後のエンドロールを眺めていると、今ではベテランの方々の名前が並ぶ。今見ると歴史学習でもしているような気にもなる。面白かった。


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