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さよならドビュッシー [DVDやら映画やら]

橋本愛さんの出る映画は、彼女のオーラで成り立っている。映画「アバター」に「アナザー」も良かったなあ、と思いながらどっちのタイトルも似たような語感だなと気づく。火事で大火傷を負ったハルカは、身体は自由に動かず声も満足に出せない。それでもピアノを弾かなければ、というより「弾かされる」のは遺言と家族のせいであるが、それも次第に変わっていく。自分が聴かせて欲しかったピアノを自分で聴かせるためだ。ミステリーものらしいけれど、犯人が誰かということに興味がわかない。誰も亡くならず、警察や刑事が前面に出てこないせいかも。それよりもハルカの心境や演奏の変化、それによって都合良く態度の変わる大人たちに目がいってしまう。遺言による術後のハルカの人生も大人の都合によるものだ。この映画の中でハルカが頼れるのは、彼女を手術したお医者さんとピアノの先生の二人だけ。彼らは純真である。お医者さんの純情さは、杖がこわれてよろけたハルカを受け止めたときの表情でわかる。ピアノの先生は見ての通りの感動屋さんである。彼ら二人は家族でないことも大きな理由だろう。他にいるとするなら亡くなったお爺さん。彼はハルカとルシアに平等だし、どちらが残ろうと遺言は変わらなかったかもしれない。物語においていちばんのフックは、主人公が夜、暗い部屋でルシアの姿を見てしまうことだろう。なぜハルカではなくルシアの姿を見たのか。自己嫌悪であれば、ハルカの姿を見るだろう。原作を知らなくても、勘が良ければハルカが病院で目覚めたときに、「実はこの人はあの人で・・・」とか想像がつく。しかしルシアを見たこと、さらにはルシアが何かを話しかけていることで、亡くなったルシアが何かを伝えたがっているのだと、想像がちょっと揺らいでしまう。ただ、外見的にはルシアも既に亡くなっていたと同じかもしれない。ルシアを見たことが、その後に起こることのきっかけにもなるので、良いシーンだと思いました。良い映画ではなかろうか。


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