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スライ・ストーン(Dance to The Music) [DVDやら映画やら]

ウッドストックしか知らなかったスライ・ストーンさんの半生。彼の才能のすばらしいところは途中で放り出した曲の、オリジナルと他人によって80年代風にされたものを比較すると分かる。現在でもヒットするのはどちらかと言われたらオリジナルの方だろう。スライさんたちというとウッドストックの激しい "Higher~" しか印象がなかったが、静かに乗る曲もすばらしい。あずかり知らぬところで起きた暴動を皮肉って、アルバムにタイトルだけの曲、"There's A Riot Goin' On (0:00)" を入れるなんてなかなかおしゃれ。いくら聴いてもそんな曲がない=「そんな暴動どこで起きたんだ?」という感じ? 世捨て人の生活をしていたスライさんは、1993年、ロックの殿堂で突如登場。挨拶するがその後14年間行方知れず。その14年間に起こった出来事の映像が挿入される。その中には大統領や 911、アフガニスタンといった社会的なことはもちろんだが、iPod まで映されるのが面白い。2006年のグラミー賞で演奏するためのリハーサルに関する電話で、「ナイルって誰?」「ああナイル・ロジャースか」という会話が普通すぎてすごい。ナイルさんが語るグラミーでマイクが切れてしまった件では、当然クビになったスタッフもいたのだろうなあ。2007年アナハイム、ハウス・オブ・ブルースでのコンサート。スライに会うチャンスのため、記者や伝記作家が集まる。当日にカメラを持っていけばセンサーとかに引っかかるだろうから、前日からトイレに隠しておくという努力が涙ぐましい。質問はひとつだけというインタビューでのスライさんの答えがすばらしい。そしてまた消えた後でインタビューに応じたのはマネージャーとの訴訟話のこと。給料や権利料の未払い。それだけ彼は「マネージャーはひどい奴」だと人々に訴えたかったのだろう。そもそも彼が今までインタビューを拒否してきたのもマネージャーの助言だったという説明もあった。それはスライさんのカリスマ性を維持するためだったらしい。その他、ブラック・パンサーとの関りも興味深い。ブラック・パンサーは「全員黒人メンバーにしろ」みたいなことをスライさんに言うが、「音楽が始まれば関係ない」とつっぱね、使途不明な寄付も断る。この割り切りがかっこいい。それだけ人を信じていないともいえますが。スライさん本人が人種差別を受けなかったとは思えないが、それでも音楽をやっている間だけは存在しなかったのだろう。インタビューを受けているときの服装が黒いスパイダースーツ。キャップかと思ったのは、上から見るとスパイダーマンのマスクだった。目の形からするとヴェノムになったバージョンみたい。このドキュメンタリーを見ていると、彼が表舞台から消えた理由は単純に売れなくなったためだと思える。バンドとしてはベースのラリー・グラハムさんとドラムが抜けてしまったのが痛かった。それでも彼は曲を考え続けていたが、やっぱりマネージャーが悪かったこと。やはり契約は大事。マネージャーに勝訴したのもつい数年前、2015年のこと。その後の彼は金髪のモヒカンから黒髪に戻っていて、若い頃に戻ってきた様子。彼の他に注目すべきは日本製ドラムマシン ACE TONE RHYTHM ACE が紹介されるところ。それはスライさんの作曲には欠かせないものになったらしい。記者がスライへのお土産に用意したのもこのドラムマシン。かっこいいぜ、エース電子工業。面白かった。


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