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エル・トポ (EL TOPO) [DVDやら映画やら]

平和を目指す映画。そして平和には血がつきものという映画。しかしここまでしなくてもという映画。流浪の子連れガンマン、エル・トポは、修道院を根城にしている山賊たちを倒し、人々を救う。人々の感謝から彼は自分が神になったかと思う。これがそもそもの始まりか。そして彼は息子を捨て、助けた女と旅にでる。結局この女もいかんかったのだなあ。女に頼まれ、最も強いと言われるガンマンたちを倒すと決めたエル・トポ。見た目も強烈だが、技術でも精神面でもあきらかにエル・トポを超えたガンマンたちを倒すのは不可能。だから彼はあれやこれや卑怯な手で勝とうとする。その果ては女二人とエル・トポの間に生まれた愛憎と疑念。普通ではないガンマンたちとの対決だけでもじゅうぶん一本の映画に足りそうだが、これらはエル・トポにある疑問を抱かせるためのストーリーでしかない。ガンマンとの戦いのあとは洞窟の中で暮らし外に自由に出られない人のためにトンネルと作る話し。トンネルを作れば町にも行ける。そのお金を得るため、自分を神のようにあがめる女と町で大道芸で商売を始める。ガンマンだった頃とはまったく違うエル・トポだが、決めたことを突き進むのは同じ様子。そのためにはどんな仕事でもがまんする。しかし彼が人々のために、平和のために行ったことはあらぬ方向に進んでしまう。印象的なのは、出口が上空に見える穴しか無い洞窟とその中で暮らす人々。そこの女性が話す「近親○○を繰り返してきたので○○ばかりになった」というようなセリフ。これは手塚先生のマンガ「火の鳥」でも似たようなシーンがあった。信仰を盛り上げるための拳銃を使ったパフォーマンス。それは命をかけた神の奇蹟ショー。奇蹟を実感できなければ人は寄ってこない。砂漠の中で岩を撃って水が噴き出すのは男性自身のメタファーなんだろうなあ。砂を掘って卵を見つけるところは女性自身。水や卵が出てこなくなったことは、愛が干からびたことを示す。それが女がガンマンを倒せと言い出した理由かもしれない。エル・トポにガンマンを倒せと頼んだ女と、途中で登場する女ガンマンのその後が知りたい。「エル・トポ」とはモグラのこと。モグラは地上に出てはだめなのか。西部劇の形を借りた宗教映画。面白かった。


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