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(ハル) [DVDやら映画やら]

パソコン通信が出てくる映画。ピーヒョロヒョロの接続音がノスタルジー。画面にも BBS への書き込みがよく出てくる。年代的に Windows 95が出てきたかどうか。おそらく Windows 3.1 が全盛だったころだと思う。映画のフォーラムに書き込む人たち。今では当たり前のことですが、パソコン通信の BBS なので相手の顔を見るわけでもなく、どこの誰だか、性別だって分からないところがミソ。家でも図書館でも本棚に登場するのが村上春樹。引越しのダンボールに書いてあるのも村上春樹。その人を現すにはちょうどいい名前/小道具かもしれない。外国語スクールで習っているのが中国語。このあたりは中国との仕事が増えてきた時代を反映してるところ。BBS 仲間のエッチなローズが、パソコン通信用の他に電話も持っていると自慢する。車のカギもいちいち差し込んでガチャというのが印象的だった。待ち合わせの目印がフロッピーディスクというのがすばらしい。気になったシーンは映画館ゴールドシアターの受付のカット。なんだかナイトーホークスとか、エドワード・ホッパーの絵を思い出した。そんなカットがいくつか見られる。ポラロイドでの自撮りにリアルとネットのストーカー。「妹のパンツを何度も見ているのに何もできない兄貴」とか、これにスマホを加えたら現代版に置き換わりそう。内野聖陽さんがスリム。ローズ役の若い戸田菜穂さんがニクニクしい。その結婚相手にずっこける。BBS のシーンが多いだけあって、台詞が無く、音楽だけというシーンも多い。それでも中だるみしないのは、そこそこの緊張感があるせいかもしれない。変な映画だなあと思いながらなんだかんだと最後まで見てしまった。BBS での会話に比べて、ハルと最初の恋人、ほしとストーカーや結婚希望の男とのシーンがなんだか無機質に見える。そして、終わってみると主役の二人が直接でも電話でも、会話するシーンが最後まで出てこなかったことに気が付く。すごい。会話は無くとも、ハルとほしのやり取りはひとつ残らずすべてサーバーに記録されているわけで、それもすごいことでありなんだか恐くもある。タイトルとしては「(ハル)と(ホシ)」あたりが妥当そうだが、「(ハル)」だけなのは、「2001年宇宙の~」の "HAL" と関係あったりして。DVD の特典に入っていた監督のインタビューによると初めに「文字」による映画を作ろうという考えがあったらしい。それは洋画の「字幕」も映画の一部であり、「字幕」=「文字」も映画なのだと考え、そこから BBS やメールが登場するようになったらしい。その他、村上春樹の件とか、将来の話しとか、興味深いインタビューで面白かった。パソコン通信で BBS をメインにすると、出演料なしに役がたくさん増やせてエコだ。「北海道に飛ばされることになった~」と嘆くシーンがなんだかなあ・・・。面白かった。


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