SSブログ

世紀末の呪い 増殖 [DVDやら映画やら]

ジャンルで言うならフェイクドキュメンタリー物なんでしょう。幼女云々にリンチ、通り魔の三つの事件を取材し関係者に果敢にインタビューするドキュメンタリー作家、戸田直子。加害者に関係する人たちだけではなく、加害者目線で聞いたほうが早いと、1981年に親に手をかけて今は更生しているらしい男性にも話しを聞く。それぞれの事件は理由なきとか、突発的な犯行と思われるが、戸田は何かにひっかかる。それは何だろうという話し。インタビューを受ける人の顔にはボカシがかけられている。しかし VTR の中はみなさん顔出しなので、VTR は再現という設定かもしれない。しかしコンビニの防犯カメラ映像は本物だろうから、これらの映像は戸田の取材による VTR ではないことが分かる。たぶん、戸田がヒアリングして作り上げた彼女の脳内イメージなんだろう。防犯カメラに写った女性と VTR の女性が同じはずはない。もしかすると戸田のイメージではなく、見る人にだけ伝えられる事実かも。戸田は何も分からないしイメージできていない。このあたりからして混乱させてくれる。凶器がドーンとか血や肉体がドバーッとかいう残虐シーンは描かれない。ショックを与えるような物音・音響もない。登場人物の表情によって恐怖を感じさせてくれる。登場する事件は実際にあった事件が基になっていると思うが、女子高生の件はコンクリートの事件だろう。男子は登場しないが、遊びっぽい暴力に始まって、接骨ギブスを壊そうとするところにはムカッとしてしまう。戸田の「その時に何か話しかけていれば~」「~だとは思わなかった?」といったしつこい問いにカチンとくる。だんだんと正義感満タンでたちの悪い人権派インタビュアーになっていくような。それもタイトルにある「増殖」と関係してくるのかもしれない。レストラン厨房のお姉さんも恐い。彼女が元凶にも思える。すぐに名前が分かる役者さんは田中要次さんと森下能幸さんだけだったというのもドキュメンタリーっぽく見える。河原やファミレス、自宅とか低予算っぽいロケ場所。映像面での特殊効果は歪んだ静止画くらいで、ホラーにつきものの派手な効果は一切登場しない。でもジワジワ怖いというか気持ちが悪くなる。幼女の事件では、2階で物音がしたら1階で食事をしていた母娘が無言で席を外し、息子が降りてきて冷蔵庫をあさる。終わると母娘がまた戻る。こんな日常がホラーだし、戸田のしつこいインタビューもまたホラー。いったい共通するものは何だったのか? 中村義洋監督だから見たかった DVD。晴れ。


GEOの紹介ページ
http://rental.geo-online.co.jp/detail-336304.html


共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。