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トキワ荘の青春 [DVDやら映画やら]

キャストにひかれて見てしまった。先見性があるキャスティング。オープニング。「主演 本木雅弘 監督 市川準」というシンプルなテロップに何かこだわりを感じます。登場するのはトキワ荘。そして寺田ヒロオさん。思いつめている様子。彼はマンガを描いては出版社に持ち込み。廊下ですれちがうのは手塚治虫先生。寺田さんの名前は知っているが、彼のマンガをちゃんと見たことが無い。寺田さんやトキワ荘に関係する方たちが実名で登場する。トキワ荘に来たばかりの藤子不二雄さんの二人にアドバイスしたり川の字で寝たり。藤子不二雄さんが二人なのでおどろいたり。手塚先生が出て行った部屋に藤子さんが入ったり。石森章太郎さんのラジオを買っちゃったり。キャベツと玉ねぎしかなかったり。暑い部屋、冷たい水で背中を拭いたり。赤塚さんの画板が倒れる話しは何だかホラーだったり。どこまでが本当のことかはしりませんが、お金がないということだけは分かります。トキワ荘の漫画家たちの方が原稿料を早くもらっているんでは?と事務員に詰め寄るつのだじろうさん。自分が親のところにいるから遅いんだろうと言っているのが笑える。水野英子さんの登場と赤塚さん・石森さんの様子が面白い。彼女は学校時代のものだろうか、名札付きのジャージで仕事する。寺田さんただ一人が清潔。彼はいつもシャツに霧吹きしながらきちんとアイロンがけし、ネクタイ、スーツで出版社に向かう。描いたキャラクターの表情が気になって、気になりだしたら眠れなくなって、原稿を直しに編集部にやってくる寺田さん。おまけに廊下を一人で雑巾がけまでする。後輩たちの前では頼れる兄貴でも、実の兄の前では何か確執がありそう。「漫画少年」を出版している学童社が倒産してみなが悲観にくれる。藤子さんたちは原稿料の心配をする。寺田さんも肩を落としている。その中で石森さんが「新しいマンガ雑誌は出ている」と前向きなことを言う。本来なら寺田さんが言うべきところだったのだろうなあ。面白いのは、「ハンターお竜」の棚下さんや「ねじ式」のつげさんが出ているところ。寺田さんの心情に入り込むには必要な人たち。そこからもこの映画の主演が寺田さんであることが理解できる。生瀬さん演じる鈴木さんがページをパラパラめくっているのだが、何かと思ったらアニメーションの仕事だったのか。マンガでいくかアニメをとるか。彼の他に森安さんや、なかなか売れない赤塚さん、漫画について思い悩む寺田さんなど、明るい話しばかりではない。寺田さんの部屋に集まって飲んでいたら、編集者が来て連れて行かれる。赤塚さんも手伝いで連れ出され、ちゃぶ台に残るのは寺田さんと森安さん。ギャグの王者、赤塚さんが編集者に君はダメだみたいなことを言われるが、今となっては信じらない。落ち込んで相談にくる赤塚さんに寺田さんは・・・そして森安さんも・・・そして最後は石森さん。このあたりの流れにじんわりくる。暗い部屋の中、一人マンガを仕上げていく寺田さん。何も言わないが表情が少しずつ変わっていく。このシーンが秀逸。「理想と現実」を無言で表現するとはさすが主役。配役はすばらしいが、たしか赤塚さんはトキワ荘一の美青年だったはず・・・。ささやくような声が多くて、できれば字幕がほしかった。エンドロールに「原作」というのは無いようだが、「協力」や「原案」で本人たちの名前や著作が連記されていた。おそらく描かれていることの大半は事実なのだろうが、そうであればこそ何とも言えません。「引き際」の映画だったかもしれない。寺田さんがいなければ赤塚さんの未来も変わり、マンガの歴史は変わっていたかも。面白かった。


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