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パプーシャの黒い瞳(Papusza) [DVDやら映画やら]

1910年から始まる。モノクロ画面が印象的。コントラストの強いときはアニメーションにも見える。1971年。ある場所でブロニスワヴァ・ヴァイスと呼ばれた老女性。彼女はセレブっぽい女性によりそこから連れ出される。そしてなぜかヒゲもじゃの老人に怒鳴られる。なんだか怒られっぱなしで幸薄そう。そして始まる演奏は「パプーシャの歌」。パプーシャとは老女性の愛称のようだ。そして1949年、1925年などなど、時代を行き来しながら産まれてから老年までのパプーシャの人生が描かれる。書き文字を持たなかったジプシーの中で、パブーシャはあるきっかけから読み書きを覚える。彼女はたまたま目にした文字の何に惹かれたのだろうか。しかしジプシーの中でこの読み書きはご法度。文字のことをガジョと悪魔の呪文と言う母親。夫にも怒られる。後半でジプシー長老によっても語られる。差別されるジプシー、そのジプシーの中でも、はみ出てしまった人は遠慮なく叩かれる。息子タジャンにまで「いかれ女」とののしられるのは悲しいシーン。意外なのはディオニズが彼女をかばうところ。悲しいといえば、パプーシャが結婚にいたるシーンも辛い。しかし文字を知っているパプーシャだからこそ、戦争が始まったという新聞記事を読むことができたし、生き延びれた理由でもあったのではなかろうか。一時はパプーシャによって息子や夫、周りの人々に光がもたらせられるのだが、その後は目も当てられない。そんな詩人パプーシャの人生についての映画なのだが、ジプシーたちの生活する姿も見どころ。川辺での集団生活、フェスティバル、音楽にダンス。生計はジプシー・オーケストラ。政治とのかかわりを避け、自由に過ごし温暖な土地を目指して。しかし移動して勝手に土地に入ってくるせいか、その土地の人々からはいつもヤジを浴びせられる。「働け!」とヤジを飛ばされたり、市場でも罵倒される。店に入れば何かを盗むつもりかと言われ、酒場ではブタとか悪臭がするからと追い出される。警官たちからは許可の無い野営とか消火設備が無いとか散々文句をつけられる。そして「演奏にも許可がいるのか!」と嘆く。政治による「ジプシー定住化政策」など家は不要な彼らに受け入れられるはずがない。土地の人々から見ればジプシーはただじゃまな人々なのだるか。面白いのは、セレブなパーティの演奏に呼ばれたりするところ。富める者とそうでない者によっては、彼らに対する見方がちがうのかも。ジプシーにあこがれる者はどちらに属されるのか。上から目線のようで何だか複雑。ギターが何本か登場するが、主にフォークギターとかガットギタースタイルだが、遠目に左右に f ホールのついたセルマースタイルのギターが見えるシーンもあった。セルマーを真似たディマウロのギターといったところか。ジプシーの生き方にはあこがれるが、とても厳しい歴史があったのだなあと思わされる映画。パプーシャだけではなく、ポーランドのジプシーを描いた映画。「1971」とかテロップを見忘れると時系列がちょっと混乱してしまう。ジプシーの歌に字幕があるのでうれしい。イェジには最後まで面倒見ろよと言いたい。実話でなかったとしても面白い。晴れ・寒い。


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