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渇き。 [DVDやら映画やら]

タイトルロールが良い。何だか外人受けしそう。冒頭のふらふらしている遠藤は、先生によると自殺したと言っていたが、ほんとは違うんではないかなあ。でもボクがやったことに心が傷ついてしまったか。犯人、といってもこの映画に出ている人はみなさん何かの犯人にされそうな人たちばかりですが、柱である加奈子の件に関してはけっこう意外な方が犯人だった。見事なまでに良い警察官が出てこない。加奈子を探す父親の藤島も、元刑事という設定ですが、彼の行動を見る限り、警察官の適正があったのかとってもあやしい。大体、よりを戻したい相手にあんなことするんですから。次の日になれば当たり前に朝めし作れなんていう。回想シーンやカウンセリングシーンとかを見ていると、この事件自体、別れた妻とよりを戻したい藤島の夢落ちかと思ったりする。加奈子という女性は、いわゆる「ひとたらし」ということなのか。みんなが加奈子を慕ってくる。それは彼女が自分に言ってほしいことを言ってくれるせいらしい。加奈子はもちろん、誰も何を考えているか分からない。ボクに対して執ようないじめをする野球部にしてもその理由はいったいなんなんだか。これも加奈子がけしかけたことかも。分からないにしても、されてうれしいかうれしくないかは分かる。そこが加奈子のツボか。大元締めのチョウと傘下のヤクザ、その下で遊ぶ少年たち、意外な正体だったチョウの手下、そして彼らの汚した後をきれいにする警察。加奈子はその中のどこにもいない。松永の最期の話しに加奈子のことを見直そうと思うが、それじゃあボクのつじつまが合わない。彼女が緒方を好きだったのはほんとうかも。それじゃあ加奈子がやらかしてしまった理由が緒方のことかと考えると、それだけではないような。やっぱり自由過ぎたのか。ある言葉、「○してる」と言えばすべてがかなう加奈子は、すべてが自由になることを悟ったんでしょうか。俯かんすると、元刑事の藤島が仕事という意味ではいちばんまともだった気がする。しかしこの映画の中で、女性に乱暴するシーンのほとんどが藤島によるもの。やはり彼もまともとはいえない。この親にして加奈子あり。藤島と加奈子の過去についてはイメージや妄想のように描かれていて、人の言うことが全て真実かは分からない。藤島の暴力はもっての他だが、娘との一線を越えなかった雰囲気もある。もしそうなら、他の変態セレブより倫理観はありそう。何がほんとうなんだか。もしかしてラストの場所だってでたらめかもしれない。きれいに言えば「親子という他人の物語」かもしれませんが、この映画で明確になっていることが血みどろの乱暴や暴力だけで、誰にも愛を証明できなかったというのがこの話しの本筋かも。悲しいですけど。愛してるわとか言って抱き合うような場面も無い。何かというと「あんたの子供だろ」「あんたが親だろ」の台詞。そして連発されるテレビ放送不可な「○チガイ」。この言葉は藤島他、全ての人にはね返る。とても原始的な映画でした。ああ怖かった。この映画ではっきりしているのは人の最期だけですが、できるものなら、けっこう不死身な浅井刑事の末路もはっきりしてほしかった。ヤクザの暴力シーンも非常に怖いですが、少年や高校生たちの暴力は異常に怖いです。演技な気がしないので。役所広司さんの不死身っぷりも信じられませんが、オダギリジョーさんの殺し屋演技が天才的に良かった。オダギリさん演じる愛川の奥さんも見事。冒頭と最後のほんの一瞬で宗教の境界を越えてくれました。考えてみると単純に加害者側家族がかっとうする話しか。面白かったが怖かった。そこらじゅうがルミノール反応だらけのまじめな井口・西村監督作品とも言えるかも。晴れ。


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