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日本暗殺秘録 [DVDやら映画やら]

東映のカラー映画。ドキュメンタリー風の映画といえば、妄信的に主君に仕える「武士道残酷物語」が心に残ってますが、この映画の冒頭、雪の中で生首を持つシーンもけっこう印象深い。特に頭がこっちを向いた転がり方は本物に見えたりしました。芥川比呂志さんのナレーションが良いです。話しの中心は血盟団事件。なのでたくさんの高名な俳優さんたちが出ていますが、主役はタイトルロールのとおり、千葉真一さん、田宮二郎さん、藤純子さん。桜田門外の変で井伊直弼が暗殺される。暗殺するのは若山富三郎さん。「権力」の暗殺。大久保利通さんが唐十郎さんによって暗殺される紀尾井坂の変は、るろうに剣心の主人公が生きていたような時代。「軟弱外交」の暗殺。吉田輝雄さんが大隈重信を襲う事件。「吸血鬼ゴケミドロ」ではパイロットで、「恐怖奇形人間」の人見さんです。「汚職」の暗殺。星亨が暗殺される。変わっているのは、暗殺者目線の映像で、暗殺者本人が映らないこと。「財閥」の暗殺。菅原文太さんにより安田善次郎が暗殺される。財閥による労働者さくしゅに怒ったんですねえ。菅原さんの表情がすさまじい。高橋長英さんのギロチン社事件ではテロリズムが思想として語られています。だんだん意識が高くなっていくというか、頭が変になっていくというか、テロリズムが正当であることを冷静に論じる彼は、爆弾作るから百円貸せと言い、貸してくれないので銀行員を襲う。こういう人のモノローグは聞くだけ時間の無駄です。看守が「恐怖奇形人間」の土方巽さんだった。この時点でまだ大正。そして、二・二六、五・一五事件へと続く、この映画のメインである血盟団事件。千葉真一さん演じる小沼正について詳しく語られる。職場の横柄な主人や、社長さん夫婦は良い人でも、高利貸しや認可を出さない警察に追い詰められたり、もうちょっとで深い仲になれそうな藤純子さんとは別れなければならなくなったりと、なかなか大変。それよりも身体が強そうで実は病弱っぽいのが悪かったか。千葉真一さんらしく、ケンカはあれだけ強かったのに・・・。同じように病弱な賀川雪絵さんの件がとどめをさしてしまったか。そういえば賀川さんも「恐怖奇形人間」に出てたし、「牝蜂~」や「女囚さそり~」でも見たなあ。世の中に絶望した小沼の行きついたところが和尚さんのところ。この和尚さんがけっこう曲者でした。何せ血盟団のドンですから。和尚さんは宗教的啓もう計画で、派手な暴力は少し控えていたようですが、ここで現れる田宮二郎さん演じる藤井斉が火を点ける。小沼は行商に出るが物が売れない、俗な世間の様子、昔世話になった社長婦人の身の上や久しぶりに会った藤さんに、また社会への絶望が膨れ上がる。そして修行。この修行中の小沼というか千葉さんの表情がすごい。修行中でボロボロでも、しっかりエッチして子供までできてしまうというのは、修行がまだまだ足らんのではないでしょうか。ああだこうだと時間が過ぎる中、世の中は満州事変に上海事変。そしてまた悲しい藤さんに会ってしまう。なんだかんだとモテる小沼さん。普通なら愛に生きるところを拳銃を握ってしまう。そして千葉さんのクライマックスなんですが、それをパッと出た高倉健さんが見事にうばってしまう。しかし、なぜその後の二・二六事件は白黒なんでしょうか。予告ではカラーなのに。鶴田浩二さんたちが演技しているシーンで、真面目な顔をしている川谷拓三さんがかわいい。いわずもがなですが、最後の処刑シーンが他の暗殺とくらべてよほど残酷なのが皮肉。一体今までの暗殺話しに何の意味があったのか。このシーンを見せたいために作られた映画かもしれません。しかし長かった。拳銃の掃除をする近藤正臣さんが若かった。晴れで寒い。


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