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誘拐報道 [DVDやら映画やら]

東映映画。実際にあった事件を題材にしているそうです。そうであっても映画なのだからフィクションで考えたいです。タイトル文字の大きさでショック。丹波哲郎さん、三波伸介さん、萩原健一さん、平幹二朗さん、秋吉久美子など等、豪華キャスト。秋吉さんの声をかすれさせて叫ぶ様が迫力あり。小柳ルミ子さんの幸薄い奥さん役も似合ってます。冒頭の子供が上手い。小学校の男の子・女の子同士の、きらいきらいも好きのうちな仲を的確に表現しています。この子供二人の純な存在が大人のドロドロによって・・・ああ。被害者と加害者の生活感のちがいがあっても、子供たちはかわらない。藤谷美和子さんといえばおとぼけな感じの方ですが、けっこう美人に見えます。その恋人が若き宅麻伸。コンタクトレンズの件はどつく上司が悪い。彼と藤谷さんの他愛ない恋模様が話しをおもしろくしそうです。風情的に思うのは、1980年代最初って、こんな風景だったんだなあということです。あとはポケットベルですねえ。記者はみんなポケベルで呼びだされます。そして公衆電話。萩原さんの「十円玉~」とのシーンが印象に残ります。新聞の印刷風景、特に文字組の様子が面白い。今でもこうなんでしょうか。海や高架下とか下水っぽいとこのシーンとか、広さと奥行きが何とも映画という感じ。小柳ルミ子さんが良かった。いちばんの見所は、子役の高橋かおりさんでしょうか。小さな頃から演技が上手かったんですねえ。最期の台詞も泣けます。テレビに映る男の子の表情といい、映画「鬼畜」に並ぶ子役さんたちの演技です。誘拐犯と誘拐された子供が海の家での追いかけっこ。萩原さんの様子をみたら普通の子供は泣くでしょう。半ズボンで風邪をひかないかと冷や冷やもので、子役の方はよく耐えたものです。高橋さんが散歩に連れ出す犬が着ぐるみみたいでかわいい。いちばん最後、「完」の子供二人のカットに泣ける。明日遊ぼうと約束でもしたんでしょうねえ。監督上手い。しかし予告編はかんじんなシーンをじゃんじゃんネタバレしてました。当たり前ですけど、残された被害者家族はもちろん、犯人の奥さんや子供の行く末もまた悲劇。話しの中心は報道のあり方なんでしょうけど、記者自身が抱える社会的・個人的問題に警察の無力さかげん、被害者側の不安や誘拐犯の背景など色々描かれています。犯人がつかまった後の警察の笑い声にお祭り騒ぎのような記者たちが情けない。子供には「笑って・笑って」を要求するし、なんで自分が正しいと思い込む人たちは、言葉が鬼のようになるんでしょう。宅間さんをちょっと良い記者に描いているのが救いにしているつもりでしょうけど、ラストの記者と上司たちの会話が最低。丹波さんたちが悪のラスボスに見えます。要は人命さえ問題なければ何をしても良いということのようで。読売新聞の何たら記念作品というから、余計性質が悪い。エンドロールによると原作がある。報道協定によって出入り禁止をいただいた腹いせとも思えます。そんな読売新聞本社が作る映画だからこそ、これだけの配役ができたんだろうなあというのも皮肉。菅原文太さんもかんじんなところでちょっとだけ出てます。出入り禁止の憂さ晴らしのために犠牲になったのは子役たち。ここまで新聞記者ばんざいであれば、もう少し犯人が借金を背負う経緯を描いていた方がバランスがよかったかも。報道陣に向かってドヤ顔で犯人の顔を見せつける刑事もひどい。後から段々とムカムカしてくる映画。しかしそこが良いというジレンマもある。再見してよかった。雨。


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