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ジャケット(The Jacket) [DVDやら映画やら]

身体は生きているが頭が死んだ。逆行性健忘。その原因は戦争。復員して出会った女の子に認識票をあげたのが大事なところ。警官殺しの事件に巻き込まれるが、健忘により何があったのかはっきりと思い出せない。彼は罪を免れるが精神病院に入れられる。ひどい話しです。ここまでは社会派戦争ドラマのようですが、この病院でおかしな治療を受けてしまうことからSFレベルに話しが変わっていきます。ああ面白い。患者さんがダニエル・クレイグ氏とは一見ではわからなかった。007のジェントルな雰囲気がなくて、どう見てもちょっとおかしなおじさん。太目のデーモンはダウントン・アビーのベイツさんか。彼もおかしな役。クリス・クリストファーソンさん演じる医師トーマスの心の病の治療方法がひどい。彼は部下に「常識で判断しろ」と言いますが、どの口が言っているんだかもう。やさぐれたジャッキー役のキーラ・ナイトレイさんの目元のメイクが怖い。エイドリアン・ブロディさん演じるスタークが、寝ているジャッキーさんに毛布をかけるとき、ベルベット・アンダーグラウンドのアルバムの裏ジャケットが見える。たぶん母親のものをそのまま引き継いだんでしょう。子供の頃の居間にはレコードプレーヤー、壁にはデビッド・ボウイがアラジン・セインのポスターだし。ジャッキーの子供時代の子の演技がうまい。自動車の故障から始まった出会いを忘れないスタークさんは良い人です。考えてみると、医師トーマスの行き過ぎた治療が、スタークに「奇跡」と呼んでもいい現象を起こさせるのは皮肉なものです。与えられた恐怖がもたらす至福であり、これも神のご加護かもしれません。そのおかげで女医ベスにヒントを与えることもできた。そんな意味でトーマスはイタズラ好きな天使とも思えます。題名の「ジャケット」が意味するのは、スタークが着せられる拘束衣。その股間部分が黄色くなっているところがなんだかリアルでした。時々、クリスさんとジョシュ・ブローリンさんの区別がつかなかったりする。認識票を手渡した縁で1992年から未来に飛ぶというSFな話しだなあと考えていましたが、安易にタイムリープSFと考えていいものか。もしこれがスタークが死に至るまでの妄想・走馬灯としたらどうだろう。何だか病院の前で転んだときのフラッシュバックが気にかかります。面白かった。晴れ。


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