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嗤う伊右衛門 Eternal Love [DVDやら映画やら]

「嗤う」は「わらう」と読むらしい。四谷怪談の新解釈ものとでもいうんでしょうか。出演者が好い。説明の無さと顔色の悪さがすばらしい。唐沢寿明さん演じる伊右衛門の顔色の悪さは、この世にはいないことをあらわしていたりして。四谷怪談の岩といえば、顔の傷が有名ですけど、その理由も従来とは別物。説明の無さはときおり現れる回想のような場面で補われますが、すべてではありません。画面に現れる場面をそのまま受け入れて、ひたすら考えるしかない。でもそれで良いです。香川照之さん演じる又市は狂言回し的な存在。それを意識してか、一歩引いた演技がくどくなくて良いです。顔演が控えめなせいでしょうか。逆に六平直政さんの顔演が派手。この対比も良いです。しかし二人とも汚い・・・。岩の屋敷の内装、障子やすだれ、畳の様子がダメージ具合が現実っぽくて、画面の色味がそれを強調して良い感じです。それと棺おけの敷き紙も。中盤、直助役の池内博之が河原で見せる、コマ飛ばしみたいなカクカク演技がすごい。伊右衛門と岩の初夜、背中合わせの寝姿がかわいい。この頃って、ほんとに真っ暗で明かりといえば月明かりだけだったんでしょうねえ。「電気消して」なんてあるわけないっす。縁側での障子貼りから始まる伊右衛門と岩のケンカはシーンでは、同じ場所にいながら、障子によって分割され、二人の距離感を表現しているようです。最後には一枚の障子の陰になってひとつになるんですけど。このシーンに限らず、室内の襖や花瓶や小物、大物、そして人の配置でそれぞれの距離が感じられて面白い。この映画では妖怪は出ていない・・・と思いますが。あえて言うなら椎名桔平さんの喜兵衛に代表される理不尽さが妖怪。喜兵衛の顔色も悪いが、これはもしかすると幸福度によるのかも。なぜなら、岩と二人で暮らしているときの伊右衛門の顔色は健康そうなので。ラストの空撮も好き。今の世界が、何かどろどろとした愛情や怨念のもとで作られていることを示しているようです。岩はちょっとばかし気性が荒すぎで、もう少し抑えていればなあと思います。そのとばっちりを受ける六平さんがかなりかわいそう。妖怪の出ない妖怪映画。副題の「Eternal Love」のとおり、理不尽な世界にいても人を愛し続ける映画でした。面白かった。声の大小差が大きいので、字幕がほしい。音楽は宇崎竜童さんだった。雨・曇り。


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