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アメリカン・ヒストリーX(American History X) [DVDやら映画やら]

「え、そっちがやられてしまうの?」というラスト。残った人の行き先は、元のさやに戻るか神父さんくらいか。エドワード・ノートンさん演じるデレクは胸にナチス・カギ十字のタトゥー。部屋の壁には大きなナチスの旗。なぜナチスなのかというと、純血主義ってことなんでしょうか。でもナチスが特定の人種を排除しようとしたのに対して、デレクたちは白人以外、ラテンにブラックにイエローとかはみんなダメっていう考え。こういうのを聞くと、最初にいたのはインディアンでしょと言いたくなる。どこかで話題になっていそうな点として、英語では「Korean ~」とか言っているのに、字幕は「アジア」。この辺りは訳者の余計な配慮か。もし「Japan ~」と言っていれば、「日本」とか「ジャップ」とかにしてたりして。警察内のシーンでは、コリアの店主が関わる事件で、刑事がわざわざ「自分は日系」だと言う。このころってコリアの人たちがわんさか騒いでいたんでしょうか。すぐに「何とかタウン」とか作って派手にやりそうなので、その辺が目障りだったんですかねえ。回想シーンは白黒で現在はカラー。過去と現在をいったりきたりするので見ていてわかりやすい。デレクが泥棒を撃退するところ、刑務所内の暴行、食卓での過激なディベートとか、狂気なシーンはやまほどありますが、いちばん怖かったのは、デレクが学生だったころの父親を含めた食卓シーンでしょうか。この父親がいたことも現在への伏線。暴力はない。しかし父親の教えもまた洗脳という暴力。それはデレクや弟ダニーやデブなセスたちを焚きつけるキャメロンと同じだ。ただ最初の頃のデレクは、主義には染められても暴力を使わなかったんではないか。それは黒人たちとバスケットコートの縄張りを賭けた試合の様子でわかる。ラフ・プレイを受けた彼は、キャメロンや仲間から言われても暴力では返さずゲームで勝った。頭の良いデレクなので、暴力でむちゃくちゃになるより、まずは縄張りが第一と考えただけかもしれないですが。冒頭であれだけバイオレンスだったデレクの性格が変わるほど刑務所はひどかった。医者が「何針縫いました」というのは、後ろが裂けてしまったんでしょうねえ。ひどいところだが、それが刑務所の「効能」といえなくもない。所内でデレクと一緒に働く人の良さそうな黒人って、ほんとはすごいビッグな人だったんではないかと想像したりする。たとえば一目置かれる人の兄弟とか、息子とか。しかし、彼がデレクのしたことを知ったらどうなるだろう。連鎖の火種はあちらこちらに残っています。しかし荒れたデレクたちの家庭の中、妹のダヴィーナさんは出て行かずによくがんばってたなあ。それも可愛い小さな妹がいたからでしょう。暴力は暴力しか生みませんよっていう映画なんでしょうが、自分にはダヴィーナさんのように生きろというメッセージだと思いました。しかしラストはちょっとかわいそすぎた。でもまだ火種はくすぶり続けます。辛かったが内容は大いにありました。物理的な暴力はなくとも、左も右もテレビもマスコミも洗脳だらけ。注意せねば。雨。


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