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霧の旗 [DVDやら映画やら]

倍賞千恵子さんと新珠三千代さんをいっしょに見れる映画。監督が山田洋次さんとは知らなかった。寅さんとか人情、青春ものとかの印象が強いので。言ってみればこの映画も人情ものか。ミステリーではありますが犯人探しのドラマではなく、弁護士に対する復讐ものと思います。ただどっちかというと資本主義時代の逆恨みとも思えます。お金がなければダメなこともある。そんなことを考えると、左翼・社会・共産主義的映画かもしれない。弁護士に限らず、医者もそうだが、お金と人情を計りにかけてどちらが重いかなんて、その時しだいなんでしょうねえ。金が欲しければ助けるし、忙しければほっとくし、余裕があればちょっと考えるし。桐子を演じる倍賞さんの役がダーク。新珠さんはとばっちりを受ける方。別に彼女は悪かないのに・・・。なんだか江戸川乱歩さんの映画「死の十字路」の新珠さんを思い出します。弁護士の浮気相手と本妻に対する態度のあからさまな違いに、男ってのはよ~と思ってしまう。でもまあ、新珠さんと比べたらその気になるのも仕方がないか。そんな弁護士にプレッシャーをかける桐子だが、特に弁護士の願いに「もういいです」「うそじゃありません」と応えるところが怖い。なぜなら何が「もういい」のか、何が「うそ」じゃないのか全く口にしていないので。ああ怖い。映画のシーンとしては、利き腕について分かる弁護士と新珠さんの食事のところがよかった。左に新珠さん、右におそらくあ然としているであろう弁護士の口から下が映っている、明るさと暗さが同居しているカットが良いです。倍賞さんが現場で細工をするときに流れるアコーディオンが、なんだかフランス映画のようで良いです。しかし白黒映画の中の人をあやめるシーンは怖いです。なんだかドキュメンタリーっぽく見えるせいか、それともおばあさんの顔が怖いのか。犯人扱いされる桐子の兄、露口茂さんが警察の取調べがすさまじく、疲れきった果ての自白だと証言しても、刑事がそんな厳しいことしてませんという。ほんとのところはわかりませんが、彼らの取調べはひどいもんだったんだろうなあと想像します。映画「真昼の暗黒」ように。どうせ犯人ありきの取調べなんでしょうし。まったく警察って奴は。倍賞さんを怒らせてはいけないことがよく分かる一本でした。とか言いながら、少しスカッとするのはなんでかしら。何度見ても面白かった。雨・曇り。


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