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鬼畜 [DVDやら映画やら]

子役の三兄妹が見たくなって借りた。ちゃぶ台のご飯で遊ぶ次男が映される。映れば映るほど「やめとけよ~怒られんぞ~」と感情移入。遊ぶ次男を映す目線が、そのまま岩下志麻さん演じる奥さんのそれなのが怖い。その次男のご飯や醤油で遊ぶ姿がとても自然なところにグッときます。前の家や出かけた先にいる幸せそうな子供との対比にまたグッとくる。エレベーターに乗った緒形拳さんとヨッコの目が合うところにもグッときます。ヨッコはどことたずねる長男にまたグッときます。この長男がなかなか泣かんのがえらい。妹を探しに前に住んでいた家に向かう長男。その歩き方に涙腺が緩む。前の家の様子を見て何を感じ入るのかは、その表情から察するしかない。それは他の場面でもそうで、長男は自分の感情を口にしない。だけどその表情だけで分かる気がする。その表情で胸が熱くなる。最期、父親を前にした長男が言う言葉は、父親をかばっているのか、それとも絶縁宣言なのか。たぶん二度と会いたくなかったんだと思いたい。普段は短パンにタンクトップといういつも同じ格好。出かけるときはちょっとおめかしというところに、そんなもんだよなあと思う。嫌がる子供の口に無理やりご飯やパンを詰め込んだり、臭うと言って洗剤をかけたり、投げ飛ばしたりする大人の演技にもゾクゾクします。そうした芝居の後には「ごめんね~」とか、子役に優しく接したりなんてありそうですが、岩下さんや緒形さんはどうだったんでしょう。変な対応だと子供がトラウマになりそう。従業員の蟹江敬三さんは、具体的なことはわからなくても不穏な空気はじゅうぶん読めたはずだろうが、夫婦というか会社の上司に出しゃばるでもなく、当たり障りの無い振る舞いが実際にありそうで怖い。いったい小川真由美さんはどこに行ってしまったか。ある証拠から子供の身元が判明するのは、松本清張さんらしいところ。白黒映画ならどんな演技でも自然で重厚に感じてしまうことが多いけれど、カラーでこれだけ子役の表現力が前面に出た映画というのはめずらしかったんではないかなあ。「とうちゃん」「かあちゃん」という声が耳に残ります。長男がヨッコに会える可能性が残っていることだけが救い。この後日譚とかも見てみたい。この映画を感動巨編とよんだりするがそれはどうでしょうか。演技に感動するんであって、話しの内容には何ら共感できん。役者を見る映画であり、役者に感動する巨編なんでしょうねえ。感情が変化していく大人の演技は見事なものですが、この子供たちあっての映画。子役の地位はそう高くない時代だったんでしょうが、今であれば何らかの賞を与えられてしかるべきな働き。音楽も良いです。福井とか能登とかロケも多いです。今なら列車ももっと早いですねえ。子供が三人並んでブランコに乗っているDVDのジャケットにジンときてしまう。松本清張さんで子供といえば「影の車」も怖かった。そういえばあれも岩下志麻さんと小川真由美さんが出ていたような。子役に泣けてしまったら、雨も降った。


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